天狼の彼方
□第5章 狩人達
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「朝飯ぐらい、たまには自分で作れよ。」
「お化粧する時間が無くなるわ。」
群青は玉子を3つフライパンに並べ、妹をじろりと睨みつけた。
「なんだ、またデートか?」
「うん、レンとね。今日はマユと隆也も来るの。」
「マユって……あの巨乳ちゃんか。」
「私の友達を胸の大きさで覚えるの辞めてくれない?」
「おい焦げ臭いぞ。」
父の海聖がまったり新聞を読みながら、息子に言った。
群青は慌ててフライパンを火から下ろした。
「固いのはいやよ。」
「わがまま言わないで食え!」
目玉焼きにトーストとサラダを添えて、父と妹に差し出した。
「パパったら、急にどうして東京に来たの?」
「また浮気がバレたのか?」
息子はちらりと皮肉な流し目を送った。
「今回は仕事で来ているよ。」
海聖は、新興の不破財閥の次期総裁と言われていた。
「東京本社はお前に任せきりだから、時々偵察に来ないとな。」
「真面目に働いてますよ。だから給料あげてくれない?」
「入社4年目の若造が何を言ってる。」
「知ってる?俺の給料の二分の一は毎月リオとカレンにたかられて、飲み食いされてるんだぜ!」
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