天狼の彼方

□第7章 決別
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台所では母の柚子葉が片付けをしていた。

「洗い物、手伝うよ。」

「ありがとう。久しぶりにみんな揃ったから凄い数だわ。」

「余計な奴もいるけどね。」

「パパのことじゃないでしょうね?」

口を尖らせる母を見て、蓮はクスクスと笑った。



全員揃った訳じゃ無い…



蓮はふと目を伏せた。



忙しい高塔家の大人達は、家族と過ごすわずかな時間を大切にした。

それぞれの子供達を分け隔て無く気遣い愛おしんだ。



蓮は季従や詩音を年の離れた兄姉のように慕った。

彬従や恭花を実の弟妹のように可愛がった。



そして、華音を…



「マユが帰るって言うけど、レンはどうするの?」

里緒菜と真悠がやってきた。

「隆也から電話が来てどこにいるか聞かれたの。レンの実家にリオと遊びに来たって答えたから。」

「ずいぶん正直だな。」

「嘘は吐かないわ。だって私は隆也の彼女だもん。」

したたかな真悠に、蓮はわざとらしくため息を吐いた。

「リオもマユと一緒に帰れよ。俺は明日の朝帰るから。」

「えーっ!レンと一緒がいい!」

「お兄さんが怒るだろ?」



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