天狼の彼方

□第8章 蒼い星
2ページ/14ページ


東京に行きたい…

逢いたい…

そばにいたい…



華音の葬儀の日に再会してから、蓮のことばかり考えていた。

ずっと、王子様だった蓮…

思いは募る…

でも東京に行ったら父や母に心配を掛けてしまう…

きゅっと胸を掴み、瑤は部屋に戻った。



なかなか風呂場に現れない夫を心配して、瑛は寝室のドアを開けた。

ベッドに腰掛けたまま、祐都はぼんやりとしていた。

「ヒロト、お風呂はどうしますか?」

「あっ!今から入るよ。」

慌てて立ち上がろうとした祐都を、瑛は留めた。

「貞春さん達は変わりありませんでしたか?」

「ああ、新しいホテルの営業は順調だそうだ。最近お互い忙しくて、逢う時間も無かったからね……華音の話をしながらミセツさんは大泣きしていた。」

瑛は祐都の隣りに座った。

「ごめん……飲みに行ってる場合じゃないのに……家も会社も瑛に任せきりで、腑抜けている場合じゃないのに……」

「いいんですよ……ヒロトにとってそれだけ想いが深いんですから……気持ちが落ち着くまで、ゆっくりしてください。」

夫の肩に頬を預けた。



*
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ