天狼の彼方
□第8章 蒼い星
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東京に行きたい…
逢いたい…
そばにいたい…
華音の葬儀の日に再会してから、蓮のことばかり考えていた。
ずっと、王子様だった蓮…
思いは募る…
でも東京に行ったら父や母に心配を掛けてしまう…
きゅっと胸を掴み、瑤は部屋に戻った。
なかなか風呂場に現れない夫を心配して、瑛は寝室のドアを開けた。
ベッドに腰掛けたまま、祐都はぼんやりとしていた。
「ヒロト、お風呂はどうしますか?」
「あっ!今から入るよ。」
慌てて立ち上がろうとした祐都を、瑛は留めた。
「貞春さん達は変わりありませんでしたか?」
「ああ、新しいホテルの営業は順調だそうだ。最近お互い忙しくて、逢う時間も無かったからね……華音の話をしながらミセツさんは大泣きしていた。」
瑛は祐都の隣りに座った。
「ごめん……飲みに行ってる場合じゃないのに……家も会社も瑛に任せきりで、腑抜けている場合じゃないのに……」
「いいんですよ……ヒロトにとってそれだけ想いが深いんですから……気持ちが落ち着くまで、ゆっくりしてください。」
夫の肩に頬を預けた。
*