記念BOOK
□パパが子育て中
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私は“私”の寝室で目を覚ます。
私と言ってもそれは“前世”の私の寝室であり、今は“現世”の私の寝室となった。
前世の私は最初こそ妻と同じベッドで眠っていたが、妻が狂いだして・・・何時かしか妻とは別のベッドで眠っていた。
だがベッドは広く、今や小さな子供の姿をしている私にはそのベッドはとても大きい、はずなのだが・・・
「・・・あぁ、何だ。お前たちがいたからか」
少しベッドが窮屈に感じた理由を知って私はついつい笑ってしまう。
右隣で眠っているのはボー。左隣で眠っているのはヴィンセント。
軽くいびきを掻いているボー。ちなみにヴィンセントは静かに寝息を立てている。
「私が寝ている隙にもぐりこんできたのか・・・」
息子たちの可愛い行動に口元を緩めながらも、朝食を作るためにそっとベッドから降りる。
ボーやヴィンセントが小さい頃に来ていた服が物置にまだあったため、私はその服を着用している。
まさか息子の服を着るようになるとは、前世の私は絶対に想像していなかった。想像できるはずもないが。
洗面台に行くと、相変わらず妻の生前使用していた美容品が鎮座しているが、私はそれを気にせずに顔を洗って髪を整える。
キッチンへ行き、椅子を使って身長の問題を解決してから、フライパンでベーコンを焼く。
焼きあがったベーコン。続いて卵を四つ。
トーストも焼き上げて、ほら完成。
「ジョン、ごはんだよ」
外にいたレスターの飼い犬にも餌をやる。
「後は3人を起こすだけか・・・」
テーブルに朝食を並べて、3人がいる二階へと向かう。
コンコンッ
レスターの部屋の扉をノック。もちろん返事はない。
私はゆっくりと扉を開け、中で大きないびきをかいているレスターに近づく。
「まったく。寝る前にナイフの手入れでもしていたのかな?」
枕元に置きっぱなしのナイフ。実に危ない。
私はそのナイフを枕元からそっと取り、机の上へと移した。