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□クッキーにまつわる話
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「ぅっ、ヒックッ・・・ぐすっ・・・ぅ、うっ」
「あぁ、セブルス・・・もう泣かないで」
「ご、めんなさぃっ、兄様ぁッ」
「良いんだよ。セブルス、大丈夫だから」
泣きじゃくるセブルス。
困ったように笑う僕。
そんな僕とセブルスの傍らには、少し異臭を放つ・・・クッキーだったもの。
事の発端はこの腐ったクッキー。
家の掃除をしていた僕は、セブルスの泣きじゃくる声で慌ててセブルスのいるはずの部屋に向かった。
そこには、あの腐ったクッキーの入った袋を手に泣きじゃくっているセブルスの姿が。
しかもそのクッキーは、僕は一週間以上も前にセブルスに焼いてあげたものだ。
どうしたの?と聞けば、セブルスは大泣きしながら僕に謝りだした。
何でも・・・
僕の作ったクッキーが美味しかったから、後で食べようと取っておいたらしい。
袋に入れて、本棚の裏に。
最初は一日一枚こっそり食べていたのだが、クッキーの数が減っていくうちに、食べるのがもったいなくなったのだと。
そして一週間以上経った今日、流石にもう食べれなくなったということをセブルスは悟ったらしい。
クッキーが食べれなくなったのと、クッキーをダメにしてしまった自分に僕が怒るのではと、セブルスは泣いていたのだ。
「ぅえぇっ、にぃさまっ・・・ごめん、なさぃっ」
「良いんだよ、セブルス」
異臭を放つそのクッキーは処分した。
もちろん、僕がクッキーを処分するところを見ていたセブルスは、まるでこの世の終わりのような顔をしていたけど・・・