ROMA

□水鏡
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夢うつつに
まどろみながら

昨日をたぐり寄せる…


明け方目が醒め、一瞬、焦燥を覚えた。彼女がいないのではないかと。
はたして、ちぎは、私のすぐ傍らで微かな寝息を立てていた。

とても綺麗な顔立ち。
こんな綺麗なひといないと思う。

心は…
ちぎは優しいし、大事にしてくれるけど。たいがい誰にでも優しいし。

心は、わからない。

どうして彼女は私を愛してくれるんやろ…

昨日、
扉を開けて、待ち侘びていたひとが立っているのを見た瞬間、多分、平常心とか自制心とか飛んでいった。

彼女が服を着替えてきたこととか、私の好きな花を覚えてくれてたこととか、お酒を少しなら飲めるって知ってたこととか、舞い上がるネタには事欠かなくて。

彼女に触れられると、恍惚として天にも昇る気分になった。

昨日は、
彼女にキスされたり、彼女にキスしたり、抱いて、抱かれて、笑い合って。
私は彼女のもの、彼女は私のものだった。

昨日は、
とうとう好きって、愛してるって言ってしまった。
私の思いを受け止めて、愛してると言うかのように、彼女はとても官能的なキスをくれた。


昨日は…

…彼女は私だけのものだった…


綺麗な顔をじっと見つめ、雪花石膏の肌にそっと触れると、彼女は目を開けた。

「…おはよ」
「うん…」

言いようのない淋しさ

「…どうしたの?」
「…うん」
「うん、じゃないよ…」

どうして彼女は私を愛してくれるのか…

「私、なんかした?」
…淋しくてしょうがない…
「…別に」

「別にって…。別にじゃないよ…まっつさん…。…まっつさん?」

彼女はここにいて私を愛してくれるのに、何で私はこんなに不安なんやろ…

私は彼女の心配そうな怪訝な瞳を避けて、言い訳のように彼女にキスした。

彼女は私を抱きしめて
繰り返し繰り返し愛してると
囁いて

透き通る琥珀色の瞳で
私の目をじっと覗き込んで
わかるでしょ?と

心をこめて


私が
わかってる、と答えたら
納得しない顔をして
もう言葉なく

堪らないようなキスを


キスをして

私を抱いて

愛を、心を…
私が切望した

心をくれた…





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