ROMA
□錬金術
13ページ/13ページ
世界は輝いている
彼女の瞳に映るもの
彼女の指先の触れるもの
すべてが美しく
すべてが幸せな
世界をつくる
彼女の錬金術
私は…
ただあるがまま彼女を愛する
彼女の欠点をこそ
愛する
彼女のいる世界だけが
私には価値ある世界だから
「明日、同期会なんだ」
「あ、コマちゃんの…?」
「うん。まっつさんも来る?」
「いや、行かへんやろ」
「冗談。でも、別の機会に行かない?コマ、まっつさん好きだから」
「そうやね…」
気乗りしなさそうなのはいつものこと。まっつさんは気分屋だから。でも、私のことは…そんなふうに扱わないよね?
「ちぎ…どしたん?」
まっつさんの指が私の髪に触れる。その触れかたは、いつもたとえようなく…ため息がこぼれる…
まっつさん…愛してる…
「ちぎ…泣いてんの?」
「…そうかな…そうかも…」
彼女の手を取り、唇に押し当てると、その指は私の涙に触れて微かに震えた。
「…コマちゃんの組替え、辛いよね…」
「辛いけどね…そうでもないの」
「そうなん?でも、泣いてるやん」
「これはね…いろいろ…」
「うん…」
私は微笑む。
彼女に、愛してると…思いをこめて。
まっつさん…愛してる…
コマが組替えって聞いたとき、私、組替えが私かまっつさんでなくて良かったって思った。
コマの組替えを辛く感じたのはその後…
私は、そんななの。
まっつさん…
私は、そんなだけど、愛してくれる?
私は…あなたを愛してるよ…
2013.08.25