ROMA
□楽園
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…Vaya con Dios, my darling…
ジュリー・ロンドンの
けだるいハスキーヴォイス
音楽が終わり
窓を開けて
風の音を聴きながら
私の彼女の雪花石膏の肌に散る
星のような黒子を数える
「ちぎ…」
いつも途中で分からなくなる。10個も数えられないうちに。それは、黒子って色が薄いのもあるから…これは黒子だろうかと迷っているうち数を忘れてしまうから。
「ちぎは色白やから…黒子、たくさんあるなあ…」
「んんー…まっつさん…なにいってんのぉ…?」
「寝とり」
寝惚けた子は。
そうして、彼女の首筋の黒子、鎖骨の黒子、胸元の…黒子、とキスをしていく。
「…まっつさん……ん…っひゃ!」
仰向けに寝てるとまるで平地な彼女の胸の可愛い飾りを唇で挟んだら、ビクッと震えて叫んだ。
私が、ククッと笑うと、彼女は「もうー、もうー」と言いながら、私の体を抱きしめ引っくり返して自分が上になり、今度は彼女が私をキス責めにする。
「全ツ…壮さんと同室?みきさんじゃなくて?」
「あ、そうやったかな…」
「襲われたらどうしよう〜」
私をぎゅうぎゅう抱きしめて冗談めかした泣き言を言う。
「襲われへんて。壮さん、ベタぼれの本命がいるやん」
「!それ訊きたかったのっ。ノロケ聞かされたってまっつさん言ってたよねっ?誰?ダレ?知らないっ」
ガバッと顔を上げて、興味津々。壮さんにそんなに興味あるんや、とトンチンカンなヤキモチを焼いてみる。
「言われへん。口止めされてる。自分で訊き」
「まっつさん、私と壮さんとどっちが大事なのー…」
「ちぎや」
ほら、キスして。触れて。すみずみまで。私をちぎのものにして。
「ああ、もうー…まっつさん…愛してる…」
「…ちぎ、愛してる…」
肌と肌をぴったり合わせ、体の震えも心の震えも伝わるように…
私はちぎのもの
ちぎは私のもの
離れていても
望めばいつでも
また会える
2014.01.22