ROMA

□流星
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春の空気は霞み
星もよく見えない

彼女は涙のわけを言わない
何度尋ねても

「まっつさん…」
「言わへんよ…内緒やもん」
「いいよ、別に…」
「…何でちぎはここにおるん?何で私の横にいてくれるん?」
「ばかなこと訊くね…まっつさんを愛してるからだよ」

涙ぐんでいる彼女の頬を撫で、顎に指をかけて少し顔を上向かせて…
キスをする。
この上なく優しいキスを。

舞台上では、立派にフェリペ二世陛下で、私も一緒に芝居をしながら、本気で畏れてしまうのだけれど…
もう3日泣き通し。

周りに気遣いながらも、一緒に帰ったり、帰ってから彼女の部屋に行ったり。
要するに、劇団を出たら、彼女は悲しくてしかたなくて、もう堪えられない…そんな風情で。

ご両親に何か…?違うという。
健診で何か悪いことが…?全然、健康という。
誰かにフラれた…?ちぎ以外誰が振るの?ちぎ、私を振るの?と、よけい泣かれた。

これはもう、アレだよな、アレしかないよな…と考え始めたときに、桂さんの退団発表があった。


2012.09.24
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