ちぎた日記

□私の彼女は人でなし3
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枯れぬ花などない
融けない雪も欠けない月も

見上げれば
曇った空の夜の隙間に
小さな星ひとつ

あれはあの人だ

届かなくて切なくて悲しくて
胸が張り裂けそうになった

もうあのときの気持ちはないはず
なのになぜ

目を閉じれば
まぶたの裏に浮かぶ
あの人の微笑みが

耳にこだまする
あの人の声が
私を呼ぶあの人の声が


「みりお、好きやで」

誰にでもそんなこと言うんでしょう

「そんなことない。みりおだけ」

そんなことあるって。
いたずらっ子みたいな笑顔が、いまいましい。

目が覚めて、思い出すのは
指先でそっと触れた
あのひとの艶やかな頬や
吐息混じりの微笑む唇の
感触

もうどこにもない
この世界のどこにも
私のあのひとは

一緒に星を追った
私のまさきさんは


…私はまた
あのひとに出会えるのだろうか
出会えたら
今度は何を一緒にできるだろう
何か分かち合えるものがあるのだろうか

「よけいなこと考えんと、やりきりや、みりお」

あのひとの声が聞こえた
いつも私を勇気づける声が

いつも聞こえてた

…私、やりきったよ
まさきさん

さあ、自由だ
私は

どこまでも飛んでゆける
そして世界のどこかでいつか
あのひとにもう一度出会えたらいい

たとえ出会えなくても
かまわない

私の中にあのひとは
いるから



end


2020.05.04
遅きに失した、みりおさん退団絡みのお話。最後のフレーズは、大好きだったすべての退団した人に。思い出は尽きませんね…


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