魔法少女リリカルなのは――漆黒の虚死神――

□消失と存在
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場所:空座町外れ

「君には私と戦う資格など存在しない!!」

最早化け物に成り下がった赤髪の男…藍染惣右介…が身体と一体化した斬魄刀『鏡花水月』を振るう。

形までオレンジ色の髪を伸ばした霊力も殺気も何も感じさせず、ロングコートに似た死覇装の右腕が破けた腕に巻き付く鎖と、その腕と一体化した『天鎖斬月』を藍染と同じように振るう…黒崎一護…。

お互いの一撃がぶつかり合い、衝撃波の乱流が発生して2人の横にあった山が1人の斬撃により両断された。

「よくかわした。だが驚いているのだろう、刀の一振りで地形が変わる……それが今の私の力だ。正直、私も自身の能力がここまで上昇しているとは思っていなかった。嬉しいよ黒崎一護、君のお陰で虚も死神も超越した……この力を私は存分に試す事が出来る!!」

また2人の姿が消え、鍔迫り合いになる。その時に刀と刀が衝突しあった時に発生する衝撃波が辺りを蹂躙し、木々や山を塵にする。

「はっ!!奇しくも我々は右腕と斬魄刀が融合するという似通った姿に進化の帰着を見出した様だ。もしかするとこの姿こそが斬魄刀の本来の姿なのかも知れんな……」

また2人の姿が消え、鍔迫り合いになる。

「だが、今の斬撃の応酬で判った。やはり君と私の進化は次元を異にしている」

藍染が押し切り、刀を一護の身体を消し飛ばそうと振るわれる。

「私がその気になれば君の刀は一振りで破片となる!」

だが……その刀が一護に中ることはない。一護が受け止めた。その一撃は一護の背後の地形を変えた故にどれほどの威力だったのかは判っただろう。

「……馬鹿な」

一番信じたくないのは藍染だろう。自分が最強になったと思えば、その一撃を、進化に失敗したと思ったただの死神に素手で、鋼皮もなしで。

「(かわしたのなら解る。いや、本来ならかわせる速度ですら無い筈だがそれでもかわしたというならまだ解る。だが《受け止めた》!?)この……私の……一撃を」

「何を驚いてんだ?俺があんたの刀を受け止めた事がそんなに信じられねぇか?怖いか?自分の目の前で、自分の理解できねぇ事が起こるのが」

その言葉に藍染が後方へ距離をとる。肩を震わせている所から見て怒りに身を震わせているのが一目で解る。

「勝ち誇った様な口を利くなよ……今のは君の膂力が瞬間的に私を上回っただけの事。ならばそんな奇跡など起こらぬよう鬼道で微塵に圧し潰すだけだ!!」

藍染が指を天へ向け鬼道の為の完全詠唱に入る。

「『滲み出す混濁の紋章 不遜なる狂気の器、湧き上がり・否定し・痺れ・瞬き・眠りを妨げる、爬行する鉄の王女、絶えず自壊する泥の人形、結合せよ、反発せよ、地に満ち己の無力を知れ』破道の九十【黒棺】!!!!」
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