過去拍手
□誰か、助けて
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―転生物語―
事故で死んだ私は、何故かその記憶を持ったまま生まれ変わり、そしてそのまま成長した。
私立不動高校。
現在、そこに高校二年生として通っている私。
決して裕福とは言えない家庭の私がなぜ、私立なんぞに通っているのかというと、
頭の良い私を、良い学校に通わせたかったから、らしい。
頭が良いといっても、それは前世の記憶があるお陰であって、別に勉強が好きだというわけでもないのだが。
両親が必死になって通わせようとしているので文句は言えまい。
と、まあ、入学して最初の数ヵ月は頑張って授業に出ていたのだが、如何せん二度目なために授業が余計につまらない。
なので私は、暇潰し用に教科書を持って屋上で、授業をサボるようになった。
しょっちゅうサボる私だが、テストで良い点さえとっていれば、先生方は注意してこない。
ただ一人「授業にでろ」と言って来る先生もいるが。
その先生は、私と同じくよくサボる、所謂サボり仲間な"金田一 一"をよく注意している人で、まあ私はついでだ。
金田一 一、こいつは頭も悪いくせに(も、と言うのは、運動もできないからだ)、屋上でよく居眠りをするのだ。先生が注意するのも当たり前だね。
そんな金田一と出会ったのは、私がはじめて授業をサボった日だった。
居眠りする金田一の近くで、のんびり教科書を読んでいた私。
だが急に肌寒くなり、それと同時に「ふんふん、なかなか大人っぽい下着」という声が聞こえ、思わずそちらへ振り返った。
そして目に入ったのは、「Bカップかぁ、発展途上だな」と言いながら、私が身に付けていたはずのブラを持っている金田一だった。
初対面でやらかした糞野郎に、初めは制裁しようかと思ったが、大人な私は心を落ち着かせてこう言った。
「ブラつけとかないと余計小さく見えるから、返してくれるかな」
我ながら自虐的だったと思う。
だがそのお陰で、「ご、ごめんな!そうだよな!」と泣きそうになりながらも、ブラを返してくれた金田一と親友になれた。
その時、金田一 一の名に既視感を覚えたが、面倒になって思考を放棄した私に今、後悔している。
あれは金田一が、演劇部の合宿についてくるか、という誘いに、旅行好きな私がノリでのってしまったのが始まりだった。
合宿所である不気味な館に初めはビビったが、それも新鮮だったし、裏方の仕事も意外と楽しかった。
だがその気分が、一気にドン底へと落ちることになる。
劇場のステージの上で、女の子が落ちてきた照明に押し潰されて死んでしまったのだ。
たまたま居合わせた刑事と何故か金田一の二人により、それは殺人事件であることが判明した。
そして眼鏡の女の子、続けて引率した先生も遺体で見つかった。これももちろん、殺人。
金田一 一、演劇部の合宿、オペラ座の怪人、それに準えた殺人事件。
ここで、私はハッとなった。
ちょっとまて、これってまさか。
金田一少年の事件簿?!
しかも第一話のオペラ座の怪人か。金田一が大好きで何度も読み返していた私だから覚えている。
もちろん、その、犯人も。
トリック等は詳しく覚えてなくても、犯人は印象に残っている。
つまり、今回の犯人は…。
そこまで思いいたって思わず見てしまった犯人に、私の顔は真っ青になった。
殺人なんてしてしまった人の近くになんていたくない。
そうして私は、部屋に引きこもるようになった。
そんな私に金田一や美雪ちゃんは、殺人事件というものに怖がっているのだろうと、勘違いをして私を元気付けようとしてくれた。
まあ実際、始めてみた死体に思わず悲鳴より先に吐いてしまったのだが。
さてここで、思い出してみよう。
先生は何故、殺されたのか。
それは、犯行トリックと同時に、犯人がわかってしまったから。
まあ、彼女はわかった瞬間に殺されたのだが。
さて私はどうだろう。トリックはたいして覚えていないが、犯人はわかっているため、必然的に彼を避けてしまう。
そんな私の突然な行動に、犯人はどう思うだろうか。
ええ、そうです。バレたのかと不安になりますね。
そして口封じに殺しにかかります。
はい、現在進行形です。
目が覚めたら口を塞がれ身体も縛られ、どこか真っ暗な狭いところに閉じ込められていました。
頭が痛いことから、鈍器で殴られたんだと思う。
ああなんか、波の音が聞こえてくるよ。絶対海近いよこれ。
オペラ座のあれに準えようにも、ネタ切れしちゃったから監禁endなのかな。
運が良いんだか悪いんだか。
嫌だよ、また寿命を全うせずに死ぬのは。
ああ、まじでどうしよう。
〜誰か、助けて〜
それからすぐに金田一は犯人をつきとめ、追い詰め、そして犯人が忌野際に私の居場所を伝えたお陰で、目が覚めてから数時間後、無事に見つけられた。
見つけてくれた刑事のおっさんに、思わず抱きついたのは仕方がないと思う。
―――――――
拍手ありがとうございました。
金田一少年の事件簿でした。
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