過去拍手

□誰か、助けて
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〜ノリで書いた続き〜


あの事件があった日から私は、金田一の誘いを断っている。あいつは死神に近い、まさに事件がこい人間だ。ほいほいついていったが最後、確実に事件に巻き込まれる。

それに私は美雪ちゃんみたいにヒロイン的存在ではないので、下手したらあの佐木くん見たいに殺される可能性か高い。

ちなみに佐木くん、この間亡くなりました。ええ。

まじでいかなくてよかった。赤サンタ。

美雪ちゃんから話を聞く限りでは他にも、たくさん事件に巻きこまれているらしいし。うん。もう絶対についていかない。

さすがの私も、あまりにも巻き込まれ体質な金田一に対して、

「お前もう、家から出るな」

と言ってしまった。

まあ金田一は意味がわからなかったのか、「はぁ?」と聞き返されたけど。理由は答えなかった。


ああ、なんなのこの世界。あいつに出会わなければ絶対に、一生平和に生きていけたのに。





と、まあ、金田一の誘いはなにがおこるのかわからないので、何がなんでも断っていたのだが。


美雪ちゃんを使うだなんて聞いていない。


可愛くて美人な美雪ちゃんに、「一緒に泊まりにいこうよ」だなんて、可愛く誘われたら誰が断れるか。


だがしかし、私はそれを猛烈に後悔した。


彼女に誘われ着いていってみれば、必ずといっていいほど金田一がついてくる。

そして金田一が来れば、必ず、必ず事件が着いてくる。

そして事件が起これば、最後に必ずといっていいほど私は襲われ、死にかける。

おいもう金田一くるんじゃねえよ。


しかも助けにくるの遅いんだよ!


お前のせいで何度鈍器で頭を殴られたことか。

何度死にかけたことか。

何度恐怖に怯えたことか。

しかも、肝心なときに私、襲われたりするから今まで一度も、金田一の推理ショーをみたことない。


私寿命をまっとうできるのかな…。







そんな私に、転機が訪れた。

あの男が登場したのだ。

警視で、若くて、イケメンで、ナルシスト入ってて、工藤○一なみになんでもできる万能な野郎。

そう、あの

明智健悟だ。


初めてあった時は、「なにこのナルシストいちいち寒い」とか思って、近づこうともしなかった。

だがその時の事件で、またもや監禁された(気絶させられただけでまじよかったよ)私を、彼はまっさきに見つけてくれたのだ。

まったく関わろうともしなかった私を、あの嫌いな金田一と協力してまで必死に。

まあ、警察官だから当たり前か、とも最初は思ったさ。だからその時は彼に、警察官としてお礼を言った。



しかしそれからも、なぜか私が美雪ちゃんについていくたびに、彼が登場して、そして私もその度に危険な目に遭った。

すぐ犯人わかっちゃうからね。学習能力ないな…私。


監禁されたし。

必死な犯人に、暗闇で殺されそうになったし。

何らかのトリックを利用して、殺されそうになったこともあったし。

自殺に見せかけた上で、犯人に仕立てあげられそうになったこともあった。


だけどすべて、彼が助け出してくれた。

そりゃもう、計ったかのように素晴らしいタイミングで。推理で見つけ出したり、時には、たまたま通りかかった時に、図らずしも助けた、ということもあった。

もはや彼は私が寿命をまっとうするために必要な人物。




そしてそのうち、いつの間にか、私は彼のことが気になり出した。



その気持ちの意味がはっきりしたのは、あの事件。

魔術列車殺人事件だ。

もちろん、私にはいくつもりなどなかったのだが、可愛い美雪ちゃんにそりゃもう可愛く頼まれちゃぁ(以下略)

あの事件は…いや犯人は、金田一の漫画のなかで一番印象に残っているやつだった。十数年たっても彼のことは忘れられないさ。

死体が消えるトリックなんてとくにだ。

あの時は思わず高遠さんを探しちゃったね。不謹慎だけど、実際にどうやってるのか気になって。



それがいけなかった。



高遠さん、まさかの監禁。

殺されなくて良かったのだが、共犯を要求してきたのであら大変。

今では軽く言えるが、あの時は本当に怖かった。金田一くん殺人計画に思わず頷くところだったよ。

…いや、まあその計画については結局、冗談だと彼は笑っていたが。

いざというときに、逃亡するために私を使おうとしていたらしい。

で、その監禁場所はまた最低なところだったらしくて…

彼は金田一に暴かれて逮捕されても、私の居場所を吐かず、その代わり、ヒントを3つ与えた。

5時間以内に私を見つけ出さなければ、私は死んでしまうという言葉を添えて。

もちろん高遠さんは、監禁場所から離れるときも、私にそれを楽しそうに話していた。

おそらく私の監禁は彼の計画のおまけになるので、本気で殺すつもりはないのだが、"死んだら死んだでいいか"的なノリであったのだろう。

冗談じゃない、と私は本気で彼に怒鳴った。

だけど無情にも扉がゆっくりと閉められて、徐々に部屋が暗くなると同時に、言い様のない恐怖感が私の体を駆け巡った。



そんな私を救いだしたのも、明智さん…彼だった。



汗でワイシャツを、額を髪を、びしょびしょに濡らして、息を切らせた彼が、私に光をくれた。

そんな彼を見た瞬間、恐怖感が一気になくなり、ほっとして…。

私は思わず「びしょぬれ…明智さんらしくない」と呟いていた。

そして彼は、そんな場合じゃないとつっこむこともせず、





「無事で…良かった!」




と私を、きつく、抱き締めた。





それが決定打だった。

本気で私を心配してくれた彼に、きつく抱き締めた彼に。




私は、落ちてしまった。





いつの間にか本気で彼に惚れてしまった私は、その気持ちに気づいてからも、行動に移すことはできなかった。

アプローチ?むりむり。

なんせ私の体は子供で、彼はれっきとした大人。軽くあしらわれて終わりさ。




と、まあ半ば諦めていたのたが…



彼がある日から突然、私を食事を、休みの日にはオペラだとかドライブなどを誘ってくるようになってきて。(もちろん即OKだが)

それが長く続いてさすがの私も、あれっ?と思ったね。

…私いつフラグたてたっけ?


と気がついたときにはすでに、私は彼に告白されていた。


驚いて固まったが、私も好きです。と、すぐに返した。



何がどうしてこうなったんだ。



…それについては、あまりにも興奮していて、彼が告白後に私を好きになった経緯を話してくれたのだが、すべて聞き逃してしまった。

また今度聞いてみよう。




さて、今日は、恋人として初のデートだ。


「よっ!ロリコン警視!」

「ちょっとはじめちゃん!失礼でしょ!」

なのになぜ彼らがいる。

金田一の冷やかしを華麗にスルーしている明智さんを、私は心配そうに見上げた。

「明智さん、金田一が、事件が…!」

彼の服の裾を…なんて可愛いもんじゃいよ。襟首に掴みかかっていう。

しかし彼は柔らかくその手を外して、にっこりと笑った。




〜大丈夫、私が守るさ〜



そう言ってくれた彼に、私はこうも危険な目に遭いまくる私に、呆れないかと質問したことがある。

その時も、彼はそう答えてくれて、


有言実行中だ。


…でもさすがにポーカーフェイスだけでもできるようにしておこうかな。



―――――――――
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


金田一の世界で必死に生きる、ヒロインの話でした。


長文失礼しました。
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