短編。
□完
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車に跳ねられて飛ばされた。
あまりの痛さに多分、「うわこれ死んだかも!」と一瞬気絶してたんだと思うんだけど。
急に痛みもなくなって、ふと目を開けてみれば何故か、ステーキを目の前にして椅子に座ってました。
おかしいぞ、私は一体どこまで飛ばされたんだ。
とりあえず目の前のステーキ頬張っとくけど本当にここどこ。
なにがとうなってる。
チーンとどこかからか音が聞こえてきたので、部屋の扉の方を見てみればそこは開いていた。
とりあえず水を飲んでから状況確認すべく扉向こうに出てみたけども。
なんか、やばいとこにとばされてしまった気がするぞ?
地下っぽいとこだしジメジメしてるし、さらにすっごい不穏な空気を醸し出す人達でなんかひしめき合ってるんだけど。
え、まさかここ地獄?ステーキ食べさせといて地獄に来た?
「プレートです、どうぞ」
となんか豆みたいな人に番号札を手渡されたのでとりあえず見てみれば、123番って…ん?
まさか、ここ、試験会場的なあれじゃね?あの、狩人的な試験会場的なあれじゃない?=死亡フラグの。
地獄どころの話じゃないや、コレ。
うん、よし、さっさと落ちよう
ステーキってことは多分あれだ、あの流れであってるはず。
最初はマラソンだった。
よっしゃまかせろ!長距離なら得意だぜ!て、んなわけない高校時代、グラウンド5周で限界だったわ。
よっしゃこれで落ちるぜひゃっふう。誰が走ってやるもんですか私は走らねえぞ!
とか思ってたんですけどね。
第一関門突破しました。
私体力あったんだすげえ…なわけない。
たまたま隣を走りはじめたマッチョたちが喧嘩し始めて、
「俺なんてこの嬢ちゃんを抱えながらだっていけるわ!」って私を背負って走り出していて。
そして出口にたどり着いただけ。
なぜか私を背負っていたマッチョは扉がしまるギリギリのところで体力がつき、私だけを出口へ投げとばして本人は扉に挟まれまさかの失格。
なんか「お前だけは…合格しろよ…!」
とか謎に託されたけど待って、違う。それどう考えても違う。なんか切ない。
うん、マッチョを恨むわ、すごく危険な湿原に放り出しやがって死ね。マジで死ね。
…いや死んでたわ、扉に挟まれて。
見事な最期…でもないか。
さて、このまま進んでも死亡フラグ全開だから、今のうちに辞退しておこう。死にたくない。
うん、はやく、おうち帰りたい。
とか思ってたら次は、隣にいたマッスルと忍者っぽいやつらが喧嘩しはじめて、
「忍なめんな!こんな試験、この女を抱えてだって合格してやるわ!」
とか私を背負って走り出しやがった。
やめて、お願い、とにかく安全なとこで下ろして。
そんなこんなで私の願いもむなしくたどり着いてしまった次の試験会場。
そして始まる試験。
超危険生物を食わせろだなんてふざけんな。
とりあえず、たまたまパーカーのポッケに入っていたライターで火を起こして、火がないやつらに売って儲けよう。
帰り賃ぐらいは稼いどきたい。
…世界規模的に帰れるかは定かではないけど。
けどうん、なんか殺人狂的なピエロメイクの男も「あ、僕もいいかな♠(語尾のマークはは雰囲気)」とか言ってお金出して来て怖い。
むしろライターあげるから殺さないで、と震えてたんだけど、意外とちゃんとお金くれたしライターは返してくれたから良かった。
死ななくてほんとによかった。
しかし、よっしゃ死亡フラグ乗り越えたぜ、と思ったとこで無駄に親切なおっさんが、
「金はないから、火をくれたお礼にたまたま狩れた豚を分けよう」
とか言ってわざわざ焼いてくれた豚をプレゼントされまして。
さらには「持てないのか?なら俺が持っていってやるよ」、と試験管のもとへ強制送還され、二次試験の最初の関門突破。
うん、なんで。お前の親切ムダすぎるよやめて。
まあ、とりあえず金も稼げたし、次こそは辞退しよう。
しかしその願いもむなしく。
どこぞの受験者たちのせいで、とんでもなく不穏な空気を撒き散らす試験官に声もかけられず、あれよあれよと言うまに山の上へ。
崖の下にある卵をとってこいとかドSすぎる。私は絶対にいかないぞ。
よし、今度こそ辞退してやる。
と、試験官のもとへと行こうと振り返った瞬間、
ずるりと滑った踵、次いで内臓に感じた浮遊感。
気づけば私は、足を踏み外して崖下へと真っ逆さまに落ちてしまった。
あーはい。どんな高さかと、崖下を覗きこむんじゃなかった…バカかよ。
とりあえずたまたま手に当たった糸(?)に必死でつかんでみたものの、ここからどう戻ろうか。
やばい腕も疲れてきた。もう私ここで死ぬの?
あーあー落ちるー落ち…て、誰だ私の着てるパーカーのフードに卵を何個もホールインワンしたのは!
ちょ、今嬉しそうに「ナイスショッッ!」とか言ったヤクザっぽいやつちょっと今すぐ落ちてくんないかな。余計に腕か辛くなったわ!
あーあー辛い、腕が辛い、誰か、誰か助け…
「てめぇ!忍をばかにすんじゃねぇ!見てろ、この嬢ちゃんをおぶりながらでもお前より早く登りきるわ!」
…て、またお前か、忍!
まあそのお陰で、無事にあの崖から生還したわけだが…今度こそは辞退を申し込もう。
と考えていたはずが、なぜ私はゆで卵を食べているんだろうか。
確かにお腹が減ったなとは思っていたけども。
落ちないようにと頑張りすぎてお腹が減っていたけども。
けども。
…はい、食欲に負けましたよばかですね。まあ、食べ終わったあとに言いに行けばいいか!
って考えていたはずがなんで、なんで私は飛行船に乗っているんでしょうか!
みんな寝てるよ、しかも試験官さんたちとか集まっちゃってて辞退しに行くところの話じゃないよ。
仕方ない、とりあえず次の試験で落ちよう。確かなんか、制限時間あったような気がするしねあそこ。
制限時間終了までぼーっとまってりゃいい話だ、うん。
よし、そうと決まればとりあえず今日は寝よう。
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