小説。

□赤と青(土方総受け)
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沖田がいつものように土方さんの隙をついて見回りを抜け出し、いつものように茶屋で団子を頬張っていると、同じく団子を銜えた坂田銀時に声をかけられた。

「や、総一郎くん。」

「総悟です。何か用ですかィ。」

「例のアレ、手に入れたよ。」

「例のアレって、俺あんたに何か頼んだ覚えはないですけど。」

「そりゃそうだ。頼まれてないもん。」

「で、アレって何なんですかィ。」

「じゃーん。」

銀時が取り出したのは、薬の入った2つの瓶。

1つは赤い液体、もう1つは青い液体。

「・・・?」

「これを是非多串君に、と思ってね。」

「媚薬ですかィ?」

「そういうのじゃないよ。もっと面白いもの。」

「へえ・・・」

「俺が渡したって飲まないしさ。総一郎君が多串君の食事に仕込むとかしてほしいなと。」

「というか何の薬なんですかィ。これ。」

「こっちの赤い方が好きな人間のことだけ忘れる薬で、こっちの青いのがそれを元に戻す薬。」

「ってことは・・・」

「そう。多串君争奪戦はついに完結の時が来たのさ。」

「そういうことなら俺に任せて下さいよ。」

そう言って現れたのは今の今まで2人の後ろにいたがあまりの影の薄さに気付かれていなかった山崎だった。

「あ、ジミー君いたの。」

「普段から食堂で副長の食事を席まで運んでいるのは俺ですからね。入れる隙なんて幾らでもありますよ。」

「・・・それ、こき使われてんじゃん。」

「いいんですよ。副長のためなら俺は。」

とにかく、と山崎は銀時に話し始めた。
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