05/08の日記

22:06
063 指切り /遊馬+ハルト
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※カイ遊前提





 約束をするときはいつも指切り。姉ちゃんともばあちゃんともそうだった。


「…カイトが最近、約束を守ってくれない?」
 遊馬宅の縁側、座って足をぶらぶらしている少年、ハルトに遊馬が言えば、ハルトは不満そうな膨れっ面でこくんと頷いた。
「今日も一緒に遊馬のところに行こうって約束してたのに、急な用事があるって」
「ふぅん…」
 あのカイトが用事だなんてなんだろうかと思ったが、ハルトが自由になれたからといってカイトにとっての何もかもが終わったワケでもないのだろう。危険なこととかしてなきゃいいけど、と、遊馬はそんなことを考えていたが、弟のハルトはどうにも不満そうだった、その理由は。
「僕だってさ、こっそり遊馬の家に行くってのなら構わないけど結局来てないじゃない?もぅ、何やってんだか…」
「……えっと、ハルト?それはどういう…?」
 じんわりと嫌な汗を感じながらも「まさかね」と思いながら遊馬がハルトに問い掛ければ、ハルトはチラリと遊馬を見た。
「…遊馬はどうなの?あんな兄さんでいいの?」
「は?いいって?」
「え、だって遊馬って兄さんのこと好きなんでしょ?」
「ぶっ…!!」
 思わず吹き出して滑ってしまった。しかし、その反応にハルトは逆に目をパチクリとさせる。
「え、ちがうの?」
「いや…ちがくはないけど…なんていうか…」
 否定も出来ない恥ずかしさに、自分でも顔が赤いことを自覚できる。それにハルトは頷きつつも、だからこその不満は拭えないようだった。
「…兄さん、遊馬との約束は破ってないよね?」
「……うん、今のところは別に。それに…」
 遊馬はふっと先日のカイトとの約束を思い出してふっと苦笑する。
「破られたくない約束をするなら、指切りをすればいいよ」
「ゆびきり…?」
「うん…ハルト、こんな風に小指を出して?」
 遊馬が小指をたてた手をハルトに見せてそういえば、ハルトは目をパチクリさせつつも小指を立てた手を出す。それに遊馬は自分の小指を絡めて、それが解けない程度に指を上下に動かした。

「指切りげんまん、嘘吐いたら針千本飲ーます、指切った!」

 そう言って指を離す。変わらず見開いた目でそれを見ていたハルトに、遊馬はニッと笑ってみせた。
「こういう約束の仕方を、俺はカイトとしているから。ハルトもカイトとすればきっとカイトも約束を守ってくれるさ」
 その笑みと言葉に、ハルトもにこりと笑って「うん!」と頷く。
 これでカイトもハルトとの約束をおいそれと破れなくなったぞと思いながら、遊馬はクスリと笑っていた。





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