NARUTO

□彼女の名前は
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「テンゾウ、暇」
「暇と言われても知らないですよ、と言うか今はヤマトですって」
「じゃあ、お前の彼女みんなに話してもいーい?」
「はッ?だ、ダメに決まってるじゃないですか!」
「隠してもいつかバレちゃうでしょうに」
「とにかくダメなものはダメなんです!」
「……たく、お前も随分と偉くなったもんだな」
「あ………」


そんな会話が待機所でされてるとは知らずいつもの様に待機所に向かう
人生色々。と書かれた看板が掲げられている上忍待機所


「おはよう」

と言えば当たり前の様に口々におはようと返って来た
そこには数人の上忍と特上の人達。
一番最初に目が合った紅の所に足を運ぶ

「あら、春歌も今日は待機?」
「うん、そう言う紅も?」
「ええ、午後までは待機よ」

ふーん、と辺りを見回せば暇そうにしている人達が
何人かは確実に待機のようだ

「平和で良いねぇ」
「平和で越した事はねえ」
「あ、アスマ!おはよう!」

タバコの煙を吐きながらアスマがやって来た

う…煙い………

タバコの煙を目に浴びたもんだから目がしみた
アスマはそんな私を見て悪ィななんて言ってるけど全然悪いなんて思ってないでしょ!

「ちょっとアスマ、あなた最近タバコ増えてない?」
「あー?そうか?」
「あんたいつか死ぬわよ」
「まあ、そん時はそん時だ」

紅…顔怖い…
アスマを睨む目がヤバイ…

「春歌」
「あ」

私の名前を呼ぶと同時に肩にずしりとした重み
声のした方向に顔を向けると、銀髪の男が。その横にヘッドギアの男が立っていた

「春歌、今日も美人じゃないの」
「カカシ、ヤマト!おはよう!」

カカシの口説き文句も華麗に交わした

「ま、そんな冷たい所も「春歌は居るか!」」

と、そこへ綱手様、高く張る声に待機所にいた人はそちらを向いた

「はい、何でしょう?」
「春歌、悪いが直ちにナルト達を追ってくれ」
「はい?」
「ナルト含めた4人にツチノコ探しをさせてるんだが」

ツチノコ…………

「ツチノコ探しに最も重要な道具をあろうことか忘れて行ってしまってな」
「…はあ、つまりそれを私に届けさせるんですね」
「ああ」

分かりました、と言えば綱手様は宜しく頼むと言い去って行った

うわ、面倒くさ……

「残念だったね」
「じゃあカカシ行く?」

そもそもナルト達ってカカシの班よね?と含みカカシに言えばにこりと笑った

「じゃ、二人で仲良く「じゃ行ってくるね」」

肩に置かれた手を振りほどき窓縁に手を掛け飛び乗る

ツチノコで有名な場所は、と…

「あそこしか無いわね」

ここから、急いで10分って所かしら、
さっさと渡して帰って来ちゃおう

そう考える否やチャクラを練り足に集中させ駆け出した



「美人よね」
「美人だな」
「美人だね」
「………」

は、っと息を飲み口々に言ってしまう程、春歌と言う人は美人だった
それは里一番と言って良い程に。

「あれで付き合ってる男が居ないってよ」
「ふざけてるわね」

あれほどの美人が誰とも付き合わずにいるなんて、なんて勿体ないと紅とアスマ二人は言った

「ま、あれだけ美人だと言い寄る男は数知れずだろうね、ね?ヤマト」
「……何で僕に振るんですか…」
「別にー、深い意味は無いよ?」
「……そうですか」

ヤマトは思った、
面倒くさい、と

「そう言えばヤマト」
「はい、何か」

また、何か言う気じゃ…

「ヤマトは確か付き合ってる人いたよね」
「な!?」

カカシ先輩ッ!?
この人何を急に!?

「あら、そうなの?」
「なんだ、ヤマトそうなのか?」

カカシ先輩を怒らすと後が怖いと改めて知った

「あ、いや…」

冷や汗が次から次へと吹き出る中、カカシ先輩だけは涼しげだった

「何よ、どっちなの?」
「ヤマト、白状しちゃいなさいよ」

にやにやと笑うカカシ先輩に初めて殺意を覚えた瞬間















「ナルト!」

風を切り大地を蹴り続け、やっとの思いでナルト達を目にとらえる距離にまでやって来た

「ん?あ!春歌先生!?」
「え?春歌先生!?」

ナルトを呼ぶ声に反応した4人がこちらを振り返った
ナルト、サクラ、サイ、キバ

「どうして、こんな所に?」
「あ、うん!あのね「キャーー!春歌先生握手して下さいッ!」」

興奮気味に顔を赤くしてサクラは右手を出して来た

「あ、うん…」

差し出された手に私の手を乗せるとぎゅうっと握られた

地味に痛い、ブンブン上下に揺さぶられて更に痛くなった

「サクラ…?そろそろ手を…」
「おーい、サクラちゃーん」

私とナルトの呼び掛けにも反応を見せず今のサクラの瞳はハートで、それ所じゃ無いらい
こんな素直な良い子を無下にする事も出来ず、とりあえずされるがままになる事にした


「そう言えば春歌先生」
「ん?」

あの後ようやく手を離してくれたのは15分後の事だった
私の当初の予定も無事に達成する事が出来て、あとは帰るだけだった
少し痺れだした手をぷらぷらさせているとサクラが切り出した

「春歌先生って彼氏いるんですか?」
「え!?そうなのか?」
「初耳だぞ!それ!」

サクラの言葉に食って掛かる二人

「もしかしてカカシ先生ですか?」
「アスマ先生じゃねーか?」
「アスマ先生には紅先生がいるんだよ!」
「あ、そっか!じゃ誰だってばよ」
「春歌先生!誰なんですか?」

えーと………
私、一言もいるなんて言ってないんだけど…

「そもそも、先生みたいな美人が彼氏一人とは限らないわよ」
「浮気ですか」
「そっかぁ!じゃあカカシ先生とーアスマ先生とー」
「だからアスマ先生には紅先生が居るっての!」
「じゃあアスマ先生は除いて、ゲキマユ先生とー「ちょっと待った!」」

この子達に勝手に何又疑惑をされる前に目の前で繰り広げられる会話を断ち切った

と言うか、ゲキマユ先生?ガイの事?ガイは無いでしょ…

あんや奴と勘違いされ若干、吐き気を覚えた

「ちょっと待ってよ、私そんな悪どく無いわよ」
「浮気の事ですか?」
「そうよ、サイ?」

と言うかみんなからはそう見えてるんだろうか…
かなりショック…

「大体、私そんなに器用でも無いし…そんな風に見えてるのかな?」
「あ、いえ!すみません…なんか勝手に暴走しちゃって」
「じゃあ誰なんだってばよ」
「ナルト!!」

しょうがないな…

「まあ、別に隠してたつもりじゃないし…」
「え!?」

この子達がまた私の良からぬ妄想を膨らませられるのも迷惑だし

「あなた達だけに教えてあげるよ」
「本当ですか!?」
「うん」

少しなら、良いかな

「あのね、私の彼氏は」

良い加減、誰かしらに告白されるのも疲れちゃったしね

「「「「えぇぇぇぇぇぇ!!」」」」

何よりあの人が可愛そうだから











「ただいまー、っと」

ナルト達の件からさらにもう一件私は駆り出された
急いで終わらせて待機所に戻ると

「「春歌!」」
「え?」

紅とアンコに挟まれてしまった

「な、何?」
「何よ!白々しい!聞いたわよ!」
「だ、だから何を?」

まったく思い当たらない出来事に私は困惑した

「「あなたヤマトと付き合ってるんですって!?」」

鼻から息を荒々しく吹き出している二人に、いつの間にか壁際まで追いやられている事に気付く

「あ、なんだ、そういう事ね」
「どうなのよ!」
「勿体ぶってないで教えなさいよ!」

二人が息を巻いている事が私の付き合ってる彼氏の事で少し安堵した

て、言うか…

「噂広まるの早いなー」

さてはサクラだな?

「で!どこのどいつよ!」
「あんたみたいな美人を射止めたイケメンは!」
「まあ、二人とも落ち着いてよ」
「これが、落ち着いてられるわけ無いでしょ!」

里一番の美人を射止めた奴よ!?と鼻を荒くして言うアンコに私はため息を一つ吐いて、じゃあ驚かないでよね
と飽きれ気味に放った

「カカシでもなく」
「アスマで「アンコ」ごほんっ、ガイでもなく「ガイは無いでしょ、さすがに」ああ、そうか…ゲンマでも、ライドウでもなくて」
「うん、違うね」
「「ヤマトなんだ」」
「うん!」

にこりと微笑んだ
日本人形のような白く滑らかな肌に太陽に輝くふわふわ揺れる髪
幼さが残る顔立ちは笑うと余計にそれを強くして白く透き通った艶かしいまでに美しい顔だ

にこりと微笑えむ彼女を見て思った人々

ヤマトか、ヤマトならいける!

簡単に蹴落とせる!





「なんだ、もうバラしちゃったの」
「その言葉おかしくないですか?」
「あら、噂をすれば、ね」
「ヤマト!!」

連れ添ってやって来た二人

「たく、他所でやってくれっての」

私はそんな言葉も受け流しヤマトに抱き付いた

「良かったの?」
「うん、元々隠してたつもりないし」
「え」
「え?って?」
「僕はてっきり黙ってて欲しいんだとばかり…違うの?」
「違うよ?」

じゃあ、今まで春歌の告白される現場を見るたびにヤキモキしてたのは一体…

「残念だったね、ヤマト」
「まあ、これからは公認だからよ」
「………はあ…」

僕はため息を漏らした











おわり
 

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