二次小説 短編

□臆病者同士
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 私は今、『レイン』という喫茶店でバイト中。
 あ、まだバイトできる年齢じゃないんだけど、マスターが別にいいって言ってくれたから喜んで引き受けた。

 私以外にバイトしているのは、3人。
 しかも、全員逝和学院高等部で、私の先輩達っ。


 その中の1人に――私は片思い中です!





 〜〜〜





 喫茶店『レイン』



「やっぱ、このくらいがいいかもな……」
「翼乃さん、何してるんですか?」


 カウンター席に座ってノートに何か書いている翼乃さんに、私は入れたてのコーヒーを置いて訊ねてみた。

 翼乃さんは私と同じクラスで、実というと一つ上で……
 いや、私が特別なだけでね?


「んー。今度作ろうと思ってる薬の調合を、ちょっと」


 すみません、聞かなかった事にして下さいっ。


「なんだ、いおり。実験体になりたいのか?」
「読まないで下さいよ!?」


 翼乃さんは、『心読み』という能力を持っていて。
 そうです、心を読めるんですっ。


「冗談だ」


 フッと笑って言うけど、私には冗談とは思えなかった……
 冗談って思えなかったら、かっこいいんだけどなぁ。


「あ、いおりちゃん。健次がコーヒーおかわりって」
「わかりましたー」


 ポットを手に、亮さん、健次さん、綱海さん、クリス君のいるテーブルへと向かう。

 4人とも同じクラスメートで、翼乃さんと同い年。
 あっ私、バンドもやってて。
 翼乃さんと綱海さん、あと4人ほどと組んでるんだよ。


「はい、どうぞ。健次さん」
「(コクリ)」
「いおり〜、ケーキ注文していいか?」
「いおりん、ボクも!」
「いいですよ! 何にしますか?」



 『レイン』でのバイトは、とっても楽しくて、マスターには感謝。
 マスターっていうのは、『レイン』の店長で怡邑千里さんっていって、逝和OBなの。



 でも……
 週に一回、特に私がバイトに入っている日に限って――



 あの4人がやってくるのだ。




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