日本

□恋愛ゲーム
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「……うん、確かになんか怪しいよね、それ」
「彩斗先輩もそう思いますよねぇ」

昼休み、国語教官室へ頼まれた本を届けに行きながら、私は昨日の放課後にされた告白について先輩に話していた。

「だいたい、本郷って図書館に来た事もないよね?」
「ええ、来た事があるなら、私が知ってます」
「鈴奈チャンが知らないなら絶対ないね。キミは図書館に住んでるようなもんだし」
「そういう先輩も知らないんじゃ、間違いなくないですね」

先輩は図書委員長でイケメン四天王の一人と言われてる。私はただの図書委員でしかないけど、私が図書館に毎日いる事や会計の真姫と仲がいい事から、いつの間にかすっかり仲良しになった。

ちなみにこうして一緒に本を運ぶ理由は、男手がいなかったのとあんまりにも先輩が委員長会議をサボるのにキレた真姫に言われた罰だったりする。図書委員会の実質的トップは真姫で間違いないと思う今日この頃。

でも先輩もやる時はちゃんとやってくれる頼りになる人だし、一人っ子の私はお兄ちゃんのように信頼している。本人には言わないけど。

「でも、なんで鈴奈チャンなんだろうね? 本郷なら引く手数多な気がするけど」
「私もそう思います。だから」
「余計に怪しい、ね」

私に告白してきた本郷伊織は、先輩と同じくイケメン四天王のひとりで、クールなのがカッコいいとか言われてる。
同じ学年とはいえ、クラスメートにすらなった事がない、もちろん話した事もない私を選ぶ理由がわからない。

だからこそ、裏に何かあるのではないか。
そう考えていたし、先輩もそう思っているようで。

そしてその推測が正しかった事が証明されたのは、そのすぐ後の事だった。



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