たんぺーん
□愛に狂った歌を捧げる
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僕は、歌が好き。
歌うのが、大好きだった。
でも、でもそれは過去形。
“だった”つい、昨日までは
僕は、歌以上に好きな人ができた。
その人は、僕から大好きな歌を取った。
僕から唯一の大好きなものを取って、あの人は笑った。
綺麗に、綺麗に。
その後、「大好きだよ。」といって
耳元で、僕に囁いた。
甘く、強く、ゆったり、ねっとり、
協力な接着剤よりも、僕の耳に付着して離れないような声で
「もう、歌ったらだめだよ」
と
それから、僕の声は出なくなった。
なぜかとか、不思議だったけど
喉を触り、手についた少し乾いているモノを見て、感じて
理解した。
ああ、僕はもう歌えないのか、と
ああ、僕はもうあの人に愛を告げることは出来ないのかと
そんな僕は、今日もあの人の隣でじっとしています。
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