たんぺーん

□愛に狂った歌を捧げる
1ページ/2ページ





僕は、歌が好き。


歌うのが、大好きだった。




でも、でもそれは過去形。



“だった”つい、昨日までは




僕は、歌以上に好きな人ができた。


その人は、僕から大好きな歌を取った。




僕から唯一の大好きなものを取って、あの人は笑った。


綺麗に、綺麗に。



その後、「大好きだよ。」といって


耳元で、僕に囁いた。



甘く、強く、ゆったり、ねっとり、

協力な接着剤よりも、僕の耳に付着して離れないような声で



「もう、歌ったらだめだよ」






それから、僕の声は出なくなった。


なぜかとか、不思議だったけど



喉を触り、手についた少し乾いているモノを見て、感じて


理解した。





ああ、僕はもう歌えないのか、と


ああ、僕はもうあの人に愛を告げることは出来ないのかと






そんな僕は、今日もあの人の隣でじっとしています。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ