ゆめしょうせつ

□乙女よ勇気を出せ
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それは朝。

友達と話していた時のことだった。



「ねぇ、なまえー、高尾くんとはどうなのよー」


「…どう、って…?」


「だーかーら!どこまで進んだのよ」


「……えっ!?」


「手つないだ?キスした?それ以上は?」




私はバスケ部の高尾くんと付き合っております。


付き合って、約2ヶ月


私たちは、



進展していません。




「…手、つないでない…」


「…は?」


「キス、してない…」


「え…」


「それ以上のこともしてない…」


「はぁっ?」


「…私たち、今まで何やってたの…!?」


「いや、それ私が一番聞きたいわ」





手なんてつないだことない…


高尾くんはバスケ部で、忙しくてなかなか一緒に帰れないけど、

一緒に帰れる時は必ず一緒に帰ってる


…でも、私たち、

…私たち何やってたっけ




「あんた、さ、積極的に手つなご、とか言わないわけ?」


「…いや、なんでだろ。…言わないよね…」


「高尾くんもなんか言ってないの?」


「いやなんも…、一緒に帰る時は無言ではないけど…、友達みたいな…、友達…っ!?」




そう、高尾とは友達のように喋って、笑って、叫ん…で…


私の事、女としてみてない…のかも…!?





「…ねぇ…、私の女子力どう…?」


「ゼロ、むしろマイナス」


「それだああああああっ」


「え」


「そうだ、きっと!私が女子に見えないから!手もつながないし、むしろキスなんて…!やっちまったあああああ!!!」






「おっ、はよ!何の話してんの?」


「たっ、高尾くんんんんん!?」





「何でそんなびっくりしてんのさ」


「なななな、なんでもないっす…!」




聞かれてないよね…!?

…ね!?



くっそう…

どうしようか本当に



いや、今日はね、そう、そうね


授業はまあ、適当に受けて

はやくお家帰ろう…

お家帰って、とりあえず作戦を練ろう

うん

お家帰る☆



「なあ、なまえ今日部活ないから一緒に帰ろうぜ」



………!?!?!?


聞いてねえええええええええ


お家帰るよおおおおおおおおおお



「なまえ?」


「かっ、そうね!帰りましょう…!」


「おう」




しまったああああああああああ


やっちまった!

やっちまった!!!



…?

いや、やっちまってない…!


そうだ、今日のつまらん授業に作戦を練ろう


そして、


…今日の放課後に実行すべし



良い事考えちゃったー!!!






――――――――――




そして、

あーっという間に放課後になり



やBEEEEEEEE☆


やっちまった今度こそやっちまった!!!

授業中に作戦を練ろうとしたのに…、


寝ちゃった…!!!



一日ってこんなにもはやいんだ…


オー マイ ベイベー





「よっ!かえろーぜ!」


「ハッ…、ハイ…」




そしていつもの帰り道


いつもと変わらないのに

やっぱり意識しちゃうと、


高尾くんとの距離が遠く感じちゃう



隣にいるのに、こんな近くにいるのに

遠いな…




「なまえ」


「んー?」


「今日、らしくなかったけど何かあったのか?」


「えっ…」




高尾君が…


心配してくれたあああああああっ
なになに嬉しくてしんじゃいそ…っ



…いや今はそんな事考えるな
作戦…なんか作戦…
なんか、えと…うーんと…



「えっと…」


「俺に言えないことなのか?」


「えっ、いや…、そんなことはない…けど…」




あ、ああああ案外今がチャンスだよね


いまっ、今言うべきか…な…

でも今言えなかったら、
いつ…


いけ

がんばれ

今言うんだ…!



「あ、あのね…」


「ん?」


「あ、の…、わたしさ…、魅力ない…かな…っ…」


「…え」



いいいい言ってしまったあああああ

困ってる…

困ってるよね高尾くん…


「あのね…、よ、よくね、考えてみるとね…、手もつないだことないし、き、ききキスも、…したことないし…、その先も…」


「…」


「だ、だからね…っ、んむっ…!」




なんじゃこりゃ


目の前に高尾くんがいっぱいで、

唇に、なんか…
やわらか…い…


わっ、…こ、こここれってキス、してる…!?



「んっ…、たっ、かお…っ」


「…ん…」




なにこれ長いよ死ぬ高尾長い


すごく恥ずかしくて恥ずかしくて死にそうで
思いっきり目をきゅーっとつぶった



「たか…、ん…っ、ふぁ…」


「ん…、かわいい」


「たか、高尾くん、何いま…っ」



やっと長い長いキスを終わらせてくれて

恥ずかしくて目をつぶってうつ向いてたら


高尾くんの両手が私の頬をふわっ…と包んでくれて、

やわらかあい…なんて思って




「高尾、くん…?」


「ごめんな、今まで何もしなくて」


「え、いや、…えっと」


「でも俺この2ヶ月ずーっと我慢してたんだ」


「が、まん…?」


「なまえに触りたくて触りたくて、でも怖がらせたくなかったから、触れなくて」


「……そうだったの…!?じゃ、…じゃあ私って魅力ある!?ある!?」


「…うん、…そうだね、…すごくね」


「…なんですかその間」


「ははっ、なまえ」


「なにー?」



っと、高尾くんの事を見上げたら

触れるだけのキス




「今日さ、俺ん家くる?」


「……まじすか」







ちょっとの勇気でだして。


(おいしく頂かれました)





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