ゆめしょうせつ

□気付いて!
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「ねー、臨也、ねー、臨也ー」


「なに?」


「臨也の初恋っていつ?」


「…なんでそんな事聞くの?」


「だって、臨也の事もっと知りたいもん」




思えば私って、全然臨也の事知らない


これまでずっと臨也と一緒にいたつもりだったけど、臨也の事、何もわかってないような気がして…、



「しょうがないな、じゃあ話してあげるよ」


「ほ、ほんと!?」




「ん、あのね、俺の初恋はたしか小学校の頃だったかな?隣の席に座ってる女の子に恋したんだ」


「…な、なんてベタな…」


「その子さー、すっごい頑張り屋さんなんだ、だからいつもクラスの中心にいる子で、その子とはあんまり関わりなかったけど、いつのまにかその子の事目でおっちゃっててさ」


「…うん」


「なんていうか、もう一目ぼれっていうか、よくまあ、今思うと本当に好きだったなーって」


「……うん」


「だからね、俺、その子と、もっと話してたくて、よくわざと教科書忘れて見せてもらってたんだ」


「…馬鹿じゃないの」


「でさ、消しゴムに好きな子の名前かいて、その消しゴムを全部使い切ると結ばれるみたいなのがあって、俺、消しゴムにその子の名前かいたんだ」


「……」


「なに、嫉妬しちゃった?かーわい」


「…うるさい、話続けて」




…聞いちゃいけなかったかな


臨也の事いくら知りたいからって、こんな事聞かなきゃよかったかも


でも、話続けてって言っちゃったし…


自分でもよくわからない感情が胸の中でぐるぐる回っている私の事を気遣いもせずに、臨也は話を続ける


それも、なんとも幸せそうな顔で



「でもさ、ある日、その子引っ越しちゃったんだ」


「…そうなんだ」


「なんとも理由は、親の仕事の都合で、だってさ」


「へぇ…」



「その子関西の方行っちゃって、俺は関東の方にいたから、すごく離れてるけど、それでも俺はその恋を諦めなかったのさ」




…正直言って、もうこれ以上聞きたくない


今臨也が話してることは、それはもう過去の話だけど、

なんだか、今もその子の事を好きなような…、なんてそんな事を考えると


きゅーっと、目頭が熱くなってきた



「どうしたの?話してって言ったのなまえじゃんか」


「そ、そうだけど…」


「ほら、おいで」


臨也にぎゅっと抱かれ、またもや涙が溢れそうになった


「ね、話の続き、してもいい?」


「も、もうやだ…」


「いいから、聞いて聞いて」



そう言いながら、臨也は微笑みながら私の頭を撫でた

私が、こくんと頷いたのを確認した臨也はまたも口を動かした



「でもね、いろんな人の話を聞いてたら、その子の場所がわかってさ」


「…もう小学校のころから情報屋やってたの?それとも、ストーカー?」


「ばか、ちがうよ」


「……」


「…ねぇ、ここまで話してわからない?」


「へ、何が?」


はぁ、と臨也がため息をはくのを私は何が何だかわからない顔でながめる



「わ、私なんか悪い事言っちゃった!?ご、ごめんね」


「ちがうよ」


「そ、それじゃあ、何で…」


「…ま、その子とは、中学生くらいの時に会ったんだけどさ、…俺が通ってた学校に転入生としてきたんだ」


「…え、そうなの!?すごくない?運命じゃない?ですてにー!?」


「…ね、ここまで話して本当にわからない?わざとやってるの?それとも、ばかなの?」


「…はい?」


「まあ、いいや、あのね、その子とさ、今も会ってるし、いつも一緒にいるんだー」


「…え」


「今も、その子と話してる」



なんて、ソファから立つ臨也


あ、あれ?これって、これって…なんて考えてる私に、臨也はぽんと私の頭を撫でた



「ねぇ、俺の初恋の子、だれだかわかったら、ご褒美あげるよ」


「…え!?」


「だから、わかったら最高のご褒美あげるよー」







君が気付くまであと何秒?



(い、臨也臨也!ごほうびごほうびー!)

(…なに、わかったの?)





→あとがき

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