ゆめしょうせつ

□あまいあまい、明日も
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「…あまい」


屋上で、呟く少女が一人


片手には、いちご牛乳



「あまい、あまーい!何で、コーヒー牛乳売れた、全部売れた、ちくしょ、人気者め」


ちゅるー、と、いちご牛乳を飲む少女



「…牛乳、飲みたくなってきちゃった」



なんて、ぼそっと呟いたはずだった



だれかに言ったわけでもなく、ただ呟いただけだった


それなのに、隣から聞こえたのだった



「飲むか?」



ちらっとみてみると、


私の隣りには、平和島静雄


片手には、牛乳



「へ、へへへ、へへ、平和島静雄、さん!?」



私、何もしてない、何もしてない


そして、話しかけてない話しかけてない


またまた、これまで一回も関わったことない関わったことない


のに、


何故…!?何故、私に話しかけた、平和島静雄



「い、いいい、いつから、そこに…」


「…あまい、から」



…ほぼ、というか、最初っからじゃん、もう


どうしよう、何かこわい、おそろしい、


何か、何か話さないと、なんかなんか



「…え、えと、あの…」


「ん?」


「ぎゅ、牛乳飲みたいです…!!」



馬鹿、私


何言ってるの


牛乳ください=あなたが飲んでるのください=間接ちゅーしましょう



…って言ってるもんじゃん!!




さすがに、きもいよ、はしたないよ、私ー


なんて、もんもん考えてたら、


「ん、」


「へ?」


「牛乳、飲むんだろ、ほら」



ななな、なんと、彼、平和島静雄は


間接ちゅーとかどうのこうの、気にしてないようです



「…そ、それじゃあ、い、いただきます…」



ちゅるー、と、平和島静雄が飲んでいた牛乳を飲む少女


片手には、牛乳、


そしてもう片手には、いちご牛乳



「お、おいしい…」


「だろ?」


「へ、平和島静雄!おいしいよ!これ!いちご牛乳よりも!」



おいしい、おいしい…!


牛乳ってこんなに、おいしかったけ、


最高だよ…!


でも、コーヒー牛乳には負けるな…いや、わからないかもだぞ


「だからさ、」


「…ん?」


「それ、くれ」



すると、片手に持っていたいちご牛乳を平和島静雄がするっと、つかむと、


ストローを口にくわえ、それを飲みはじめた


「へへ、平和島静雄、な、何て事を…」


「静雄」


「え、」


「静雄でいい、フルネームだと長いし、言いづらいだろ」



無理、


下のお名前を呼ぶのだけは、無理


恥ずかしすぎて爆発しそうだもん



「し、しず…、…平和島…」


「…ま、今はそれでいい」


「え?」



これ、おいしいな


なんて、話す彼をかっこいいなんて一瞬、そう思ってしまった



「あー、でも、あまい」



この気持ちは何でしょう


神様、あなたがもしも、いるのなら教えてください





明日もまた、



((ここにこようかな))


(いちご牛乳を持って)

(牛乳を持って)



→あとがき
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