ゆめしょうせつ

□春といえば
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「青春だろ」



「は?」



「春といえば、青春でしょ」




何をいきなり言いだすかと思ったら



…春といえば、か



しかも、まだ桜とか新学期とかならまだわかるけど、



何が青春だ




「あーあ、私も青春したいなー」




「今からでも遅くはないよ、君、まだ高校生じゃないか」




「…いや、遅いですよ、もう手遅れです」




「なんでさ」




「まわりに良い人いないですもん」




「いるかもしれないよ」




「…何を根拠に」




「この世にはまだまだ人が…」




「あっ、でも春といえば桜か!」




…まったく、なんでこの子は人の話を聞かないんだ



「んー、でも、自転車の二人乗りってのも春な気がする」




「エッ」




「…えっ?」




「えっっ?」




なんともまあ、やっぱり彼女とは話が合わないな…



いや、噛み合わないって言えばいいのかな





だけど決してつまらなくはない




こういう具合がちょうどいいのかもしれない





「今からでも遅くないよ」




「…え、」




「だってさ、」




「俺がいるから!とか言わないでくださいね」




「………」




「やっぱり言うつもりだったんですね」




「…ねぇ、なまえちゃん」




「なんですか?」






俺と青春してみない?




(…断る)(エッ)


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