ゆめしょうせつ

□それはそれは、甘い、君の
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「38度か…」



…風邪か?これ



あーあ、学校に連絡しなきゃなー…



面倒くさい…



「…薬、どこやったっけ」




私はすっと立ち上がり、


よろよろになりながらも、階段をおりて、リビングへ向かった



「うーん、薬どこやったっけー?」



私は、一人暮らしだ


親もいなくて、毎日一人でこの家で暮らしている



だから頼る人なんていないし、



こうやって風邪をひくのが一番面倒だ







薬が見つからず、私はリビングを探しまわった


「(はぁ、もう限界かも)」


そう思った瞬間、いきなり視界ぐぐらっとまわった


…あれ?私…



「みょうじ!」




倒れるな、と思った時、だれかが私の名前を呼んだ気がしたが、もう私の意識はきれていた






「んっ…、んー…」



気がつくと、いつもと変わらない、天井がみえて、



私、今、ベッドにいるのか



あ、そういえば私、倒れたんだなと気付くのはそんなに時間がかからなかった




「あー…、きもちわる…、ていうか、まぶしいー…」



「おい」



「…え?」



声がした方へ振り向くと、



「…平和島、くん?」



平和島くんが隣にいて、



「な、なんで、…ここに?」




「いや、朝HRいなかったから」



「あー…、うん」




心配…、してくれたのかな?



なんて思うと、ふっと頬が緩んでしまった



「何、笑ってんだ?」



「別にー」



「…そうか、お前熱は計ったのか?」



「ん、38度」



「ほれ」



「へ、?」





平和島くんが何やら、白い袋を私に渡した


何だろうと思って、みてみたら、




「…薬」




「お前ん家、一人暮らしだろ?持ってねえと思って買ってきたんだ」




「へいわ、じまくん」




「何がいいのかわからなかったから、適当に買ったんだが…」




「ありがとう…、助かった…!」



「…っ!」




「平和島くんって、優しいんだね」





ずっと一人暮らしで、あんまりだれかに頼ったことなくて、



はじめて、人の優しさに触れた気がした




「私、薬どこやったか忘れて、探してたの、そしたら急に意識がとんで、気がついたらベッドにいて、隣に平和島くんがいて…、薬ももう、あるし…、本当に、ありがとう」




「…お、おう、…俺、そろそろ学校に戻ってノミ虫の野郎殺してくるわ」




「ははっ、…うん、いってらっしゃい」




「…じゃあな」




「うん、ばいばい、ありがとね!」





「みょうじ」



「なに?」



「はやく風邪なおして、学校こいよ」



「…うん!」




君の優しさに触れて、





(泣きそうに、なりました)




→あとがきこ


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