キセキな僕たち

□排他的ヒステリックBoy
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「今日もちゃんと頼むよ…」

この言葉を吐いたのは何回目か…。もう思い出すのも億劫になるぐらいには数を重ねている気がする。

「おぅ、わかってるって」
「赤司ってホントに気前良いよな」

札をヒラヒラと宙で踊らせバカみたい顔で笑う同級生の中でもっぱら嫌な噂しか耳にしない三人組。金さえやれば何でもやるって聞いた時には鼻で笑ったが今では随分と世話になっている。いわばビジネスパートナーだ。

「でも、アンタも物好きだよな?」

物好き…か…。否定はできないな。確かにアイツをこんなにも愛してるのなんて僕ぐらいだ。でも、それをお前みたいなグズが言うのは頭にくるね。

「…口のきき方がなってないな」
「えっ…ー」

ーゴスッ

「ぐはっ!」

グズ野郎の脇腹にめり込む僕の拳。その勢いで噴出する唾液は地面に染み込んだ。

「グズはグズらしく仕事だけしろ」

そう言い放ち三人の顔を順番づつ睨み付ける。すると瞬く間に僕の前から姿を消してしまった。薄く洩れる笑い声。頭に浮かんだのはノイズがかった愛しい人の顔。

ホントは全部知ってるよ。お前が僕から離れようとしてるコトも。悪態ばかりつくのは素直になれないからってコトも。だけど僕は気づかないフリをする。あの小さな体を守るために…。

「明日はどうやってイジメようか」

顎に手を添えていろいろなプランを練り上げる。この時間が最近の楽しみだ。怯えた時の無意識に震える姿はなんとも愛らしい。

まぁ、本人は気づいてないが…。

風がそっと髪を撫でる。鐘の音が響いたのはそのすぐ後だった。悪魔のカウントダウンまではあはと少し。それまで此処にいてもいいかな…。






(小さな檻にしばりつけようとしたのは…)
(離れていくお前を逃がさないため)

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