道草少女
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辺りはじめじめしていて暗い。頼りは手に持っているランプのみ。
歩む道も大きな石や泥濘で非常に歩きづらい。更には道幅、高さまでもが狭く、低く、なぜ自分はこんな辺鄙な場所を歩かなきゃいけないんだと苛々がますばかりだった。
だが、その苛々は自分にたいしてではなく、ここに自分を呼び出したある人物に対してだ。
何故大事な話だからといってこんな場所まで来なくてはならないんだ。
シロナさんから聞いていた通りのどうしようもない人だ。
まだあってもいないが、何となくわかる。
相手がシロナさんの紹介ということと、ホウエンのチャンピオンであの大企業の跡取り息子ではなかったら、危うく半殺しにしているだろう。
つまり、この人にいい印象を与えておけば、後々なにか役に立つかも知れないというみえみえの下心で今の私は動いているというわけだ。
我ながら随分と可愛いげのない奴に育ってしまったと複雑な気持ちになる。
そんなこんなで歩いているうちに道は随分と広くなってきた。さっきは一人通れるのがやっとだったが、今はなんとか二人横にならんで歩けそうな広さだ。
ということは、もうすぐで目的の人物とご対面できる。
相手の顔を見たら殴りかかってしまわないか心配だ。
無駄なことを考えながら更に歩くペースをあげた。
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「やあ、初めまてアンコちゃん!」
「は、初めまして……ダイゴさん……。」
目の前にいる人物こそ、私を呼び出した張本人ホウエンリーグチャンピオン、ツワブキダイゴだ。
彼はどうやらこの洞窟で、なにかやっていたらしく頭の先から靴の先まで泥々だった。
とても跡取り息子、ホウエンリーグチャンピオンだなんて思えない。
だが、シロナさんがいっていたからには本当なんだろう。
たじたじな私をダイゴさんは気にもとめず、拾ってきた石を椅子がわりに座ってといってきた。
私は指示された通りに座り、それを確認したダイゴさんもわたしの向かい側に座った。