道草少女

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昨日の先生が消えたことが頭から離れなかった。

今はもう学年対抗戦が始まっている。そんな中私は一人、盛り上がるバトル場の外で考えていた。
私の隣にはチョンチーが一緒に座っている。

昨日のあの先生はどこへ消えたのだろうか。考えられるのは、やはり隠し通路。だがあの一瞬でどうやって音もなく消えることができるのだろうか。

そしてその前行った時は女の先生がいた。あの先生もあそこからどこかへ行くつもりだったのだろうか・・・。
あの時のあの先生雰囲気が冷たかった。
もしかしたら私があそこにいるのが嫌だったのかもしれない。

この学園の中にはどのくらいの人がロケット団と関わっているんだろう。それに彼らの目的が全くわからない。
一体何がしたいんだ。この学校で何をしているんだ。

「んー・・・・。

まったく、わかんない・・・」
[焦りすぎてロケット団側に目をつけられちゃダメですよ!]
「うん、わかってる」

「な・・・なぁ」

後ろから声をかけられて、バッと振り返る。

「(まずい、ポケモンと会話してたの見られた!?)」

「よお。えと・・・俺のこと覚えてるか?パン拾った時に丸井と一緒にいたんだけど」
「ああ、うん・・・なんとなく」

後ろに居たのは褐色のスキンヘッドの男子生徒だった。彼の言ったとおり、ブン太と一緒にいた生徒だ。
それにしてもなんで彼はこんなとこに。

「えと・・・どしたの?私になにか」
「あっとな・・・少し話してもいいか?お前のバトルまだ先だろ?」
「うん、いいけど」
「ありがとな」

彼ははにかむように笑って私の隣に座る。
私も彼もどこか探り合うような感じで話を始めた。

「俺ジャッカル、よろしくな。お前はアコでいいんだよな」
「うんそう。よろしくね、ジャッカルくん」
「えとな、単刀直入に聞くけど・・・お前って赤也、切原赤也って奴とどういう関係なんだ?」
「!?」

彼は今何といった?赤也と私が面識のあることを知っている口ぶりだ。知り合いか?と聞いてこないあたり、面識があるのを知っているのだろう。
まさか修行風景を見られていた?

「なんでそんなこと聞くの・・・?」
「ああ、わりい。いきなりそんなこと言われても困るよな。
・・・・実はこの前赤也が部室に忘れ物して、それで届けようと後を追いかけたら一緒にいるのを見てよ」
「それ、どこで?」
「ああ〜、んとな森エリアなのか?湖があるなんて初めて知ったけどな」

やはり見られていたらしい。まずい。じゃあこの猫かぶりも意味がないとうことになる。
不甲斐ない自分に泣きたい。

「それで、赤也が稽古つけてもらってるの見て・・・。最近赤也前とは違ってバトルとか、ポケモンに対しての接し方とか変わったんだよ」
「・・・・・」

ジャッカルの横顔はどこか嬉しそうだった。先輩として後輩が成長するのはやっぱり嬉しいんだろうな。
それに、ジャッカルはテニス部なのか。

「その場を見てわかったんだよ。きっとアコのおかげなんだろうなって思って」
「私はそんな大したことは・・・」
「でも、嬉しいんだ。後輩が成長していくのは。きっとわかっていると思うけど、赤也はテニスは強いんだが、ポケモンバトルとかそういうのあまり得意じゃないんだ。

そして俺たちが部を引退したら赤也にテニス部は受け継がれる。
俺たち立海のテニス部はテニスだけじゃなくてポケモンバトルも常勝だ。

前までのあいつには正直任せるのは心配だとみんな思ってだんだけどよ。でも、今の赤也になら任せても問題ないんじゃないかって今は思うよ。

だから、ありがとなアコ。それから、これからも赤也に稽古つけてやってくれ。
俺たちじゃダメなんだって、あの時感じたんだ。
だから・・・頼む!!」

そういってジャッカルは深々と頭を下げた。

「ちょ!ちょっとジャッカルくん!?顔上げてよ」

ジャッカルはゆっくり顔を上げる。その顔はどこか不安そうだ。

「まかせて、私も中途半端でやめない。最後まで赤也くんは面倒見るよ」

お互い顔を見合わせて笑いあう。


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