道草少女

□13
1ページ/3ページ



私は今赤也と向き合い正座している。
私の雰囲気がいつもと違うからだろうか、赤也は落ち着きなくそわそわしている。

私も内心そわそわしている。
なんて切り出せばいいのだろうか。私嘘ついてましたー!とか?いやもっと深刻そうな感じで?大事な話がある!とか・・・・

ああああ、いざ言うとなるとどうすればいいのかわからなくなる。

そんな私の心情を読み取ったかはわからないが、赤也が先に話しかけてきた。

「あ、あの先輩・・・?なにか悩み事でもあるんすか?

俺、相談ならいくらでも乗りますよ!!」

そういってガッツポーズを見せる。
なんていい子なのだろうか。きっと彼が思っていることは全然違うことだろうけど、それでもやはりこうして心配してくれるのは嬉しいものだ。

そして湖に放している蘭も早くしろとバシャンバシャンと元気よく飛び跳ねている。

よし、

「赤也」
「はい!」
「赤也は

ロケット団を知ってる?」

風が止み、周りの音が何も聞こえなくなった。
ゴクリと私の喉は大きく上下する。
赤也は目を大きく見開き口を閉じてしまうも、ゆっくりと言葉を紡ぎ出す。

「うっす、知ってます。


そいつらって、何年か前にレッドさんが潰したんじゃ・・・。
でも、いきなりどうしたんすか」
「私、赤也に嘘をついてる」
「は・・・」

声が震える。

「私がこの学園に来たのは、この学園がロケット団との関わりがあるからなの」

まっすぐ赤也の目を見て話した。
赤也はかなり驚いているようだ。大きな瞳がゆらゆらと揺れている。

「そ、それ・・・どういうことっすか!!

もっと詳しく聞かせてください!!」

赤也の表情は困惑したものだった。冷や汗もかいていている。
それもそうだ。私だって信頼している、信頼しかけている人に今まで嘘ついてましたなんて言われたらそうもなる。

「勿論、話は詳しくするよ。

まず私自身の説明からしたほうがいいかな。

私はシンオウ地方出身のトレーナー、本名はアンコ。ある人に頼まれてここの学園に潜入していろいろ調査している」
「シンオウって、北のあのシンオウっすか!?それにその名前どっかで・・・・・

あ!!シンオウでチャンピオンに勝ったとかいう!?」
「まぁ、そうだね・・・」

赤也は目をキラキラさせてすげーなんてつぶやいていた。
私は話を再開するように一度咳払いをする。

「それで、ここになんで潜入捜査なんてしに来たかというと、学園制度なんてものがカントー以外にないから」
「え?」
「シンオウにも、ジョウトにもホウエンにも学園なんてものは存在しない」

赤也は口を開けたまま固まってしまった。混乱しているのは明白だった。
「じゃ、じゃあ、俺たちくらいの年代のやつは」と震えるような声で質問してきた。
答えを聞いてしまうのは酷だろうが、それでも事実だ。
私は嘘偽りなく答える。

「赤也たちの年代の子は普通はポケモンをもらって旅に出たり、トレーナズスクールっていってポケモンの基礎知識を学ぶ学校に通ったりしてるね」
「学校あるじゃないっすか・・・」
「これは家から通うところだし、学ぶこともホントの基礎だけ」

彼の表情が暗くなったり、怒りを見せたり戸惑ったり、かなり混乱しているみたいだった。

「大丈夫?もう少し話すことがあるんだけど、聞けそう?」
「・・・大丈夫っす」
「それで、なんでこんな学園があるのかっていうことと、この学園の内部調査。
それから、ロケット団との関連性。それを今調べているの」
「ロケット団との関連性って・・・・!立海にロケット団がいるんすか!?」
「見たって人がいるみたい。それに青学では教師とロケット団が話してたとかなんとか・・・
だから可能性は・・・・高いね」


話が終わると私も赤也も目を合わせることはなかった。


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ