道草少女

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「ごめんね、こんなところまでこさせちゃって。」
「あ、いえ、別に。シロナさんから大事な話だからと聞いてますし。」

本当は文句のひとつや二つ言いたいとこだが、とりあえず要件を聞きたいというのが本音だ。
正直こんなとこにいつまでもいたいとは思わない。

「あの、それで要件ってなんなんですか。
こんなところで話すってことは……。」
「うん。君の思う通りかなり重大で重要な話なんだ。」

さっきのようなへらへらした感じではなく、真剣な顔つきになった。
私は思わずその表情に息をのんだ。

「アンコちゃんは学校は知っているかい?」
「馬鹿にしてるんですか?
トレーナーズスクールですよね。」
「残念、実は違うんだよね。」
「はい!?」
「はは、まぁ知らないのも無理はないよ。僕だって最初はそう思ってたんだから」

驚く私を気にもとめずダイゴさんは話を続けた。

「その学校はね全部で三つあって、一つはハナダ、一つはヤマブキ、そしてもう一つがセキチク。全てカントーにある。

カントー地方はねこの三つの学校に13〜18歳の子供を義務的にそこに入れることを決まりにした」

ということはだ、ポケモントレーナーとしてジムに挑んだり旅をしたりできない。
コンテストだって。
カントーはなんでわざわざこんなことを・・・

「その学校、生徒は外には一切出られないんだ」
「!?
それ、どういうことですか・・・」
「詳しくはうまく説明できないんだけど、なんでも強いポケモントレーナーになるためには己自身の身体や精神も鍛え上げなければならないっていうことで、全寮制でしかも学園内から外には出さないってことになっているんだ。
だから学園の敷地は町一個あるかないかの広さらしいよ。そしてその周りには到底登れないだろう高い壁がそびえ立つって。

それにね、家族にも会えないみたいなんだ、5年間ずっとね・・・」


「そんな!!

家族と離れ離れになってまで学校なんて・・・
旅でもないのに、そんなの・・・おかしい」

私は握りこぶしをどこにぶつける訳でもなく自分の膝の上で震わせるしかできなかった。

「そう、おかしいんだ。

別に強いトレーナを求める必要はカントーにはないし、それにトレーナーはポケモンと旅をして強くなるものだ。

こんな、“監獄”みたいなやり方で強くなったってどうしようもない・・・」

ダイゴさんはうつむきながら静かにそう言った。

私は深呼吸をして冷静に考えた。

カントー自体でそんな事をしてどうするのだろうか。
別にカントーが弱いわけではない。
ドラゴンつかいのワタルさんや、それを破ったトキワのジムリーダーグリーンさん。それに伝説のポケモントレーナーレッドさんだっているはず。
それにいくら己の身体や精神を鍛えるためとはいえ、それは旅をしていくうちに自然と養われるもの。

あああもう!考えれば考えるほどわけがわからない!

「それでだ、アンコちゃん。僕が君を呼んだのは君にその学校の潜入調査をしてもらいたいからだ


ポケモンと会話ができる、君にね」


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