道草少女
□04
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「あ、そういえばさ・・・この学校の噂をきいちゃったんだ・・よね・・・」
「はやいねぇ」
「う、うん先生が、私の緊張ほぐしてやるって・・・おしえてくれた」
「謎の地下室だよね」
「あと、あれ!幽霊!」
二人共学食を食べ終えたあとの水を飲んでプハーとおじさんのようなことをしていた。
手の甲で唇についた水を拭ってさっきの話の続きをした。
「なんでももう卒業しちゃった先輩が言ってたんだけど、深夜に肝試しで学校に忍び込んだんだって。でも一階にいるのに、下から地響きみたいな音が聞こえるんだって。
そしてみんな驚いて逃げちゃって。その先輩も逃げて一人になっちゃったんだって。
そしたらたまたま角を曲がったところで誰かがその次の角を曲がるのが見えて、追いかけたの。仲間だと思ったみたいで。
その曲がったとこにはね誰もいなかったの。それはね、真正面がゴミ置き場ので行き止まりだったから」
「ホントにその話いつ聞いてもぞっとするわ」
「・・・それってゴーストタイプのポケモンとかじゃ・・・ないの・・・?」
実際ゴーストタイプのポケモンの不思議な現象はあちこちである。実際シンオウでもたくさんのゴーストタイプ関連の事件があった。
実際そうだった場合そこを詮索することは時間の無駄になる。
「ん〜ゴーストタイプね。確かにそういう場合もあるよね。でも噂だから実際どうなのかはよくわかんない!」
「そーよねー」
「「あははは」」
二人は顔を見合わせて笑っていた。
私も二人に合わせて笑う。でも正直笑い事じゃない。何が原因かわからないということはそれを調べてみる必要があるからだ。
めんどくさい。
食器の乗ったお盆をもち席を立つとふたりの後をさっきのことと、今日の計画を立てながら付いて歩いた。
さてさて、どうしたものかな。こんな時霙とか、火六の頭が切れる子達がいてくれたらと思うとため息が出る。
とにかく今できることをしっかりやらなきゃ。
・・・・・
「蘭、スパーク!」
[チョンッチー!!]
蘭のスパークはオニドリルに命中した。オニドリルはそのまま起き上がらなかった。
私は蘭の頭を撫でたあとオニドリルに近づき傷薬で回復させてやる。
「ごめんね。無駄の戦闘させちゃって
戦いに挑んだのは私なのに、回復なんて。笑っちゃうよね」
普通オニドリルのような気性の荒いポケモンを自分で倒して回復させると、また襲ってきてしまう場合がある。でも、そのオニドリルは襲って来ることはなかった。
もう慣れてしまったのだろうか。
オニドリルに語りかけてみたものの。返事はせずそのまま翼を広げ空へ帰っていってしまった。
「ほんとに馬鹿みたい」
[大丈夫、アンコ。こんなのはやくおわらせましょう]
「うん、そうだね蘭」
「せんぱーい!!」
後ろの方から赤也の声がした。
振り向くとすごく嬉しそうな顔をしていた。そうか、もう6時になるのか。
足元にはヒコザルもいて、ヒコザルも満面の笑みを浮かべていた。
「昨日ぶり赤也」
「はいっす!聞いてください先輩!!ヒコザルの名前決めましたよ!」
[ヒッコヒッコ!]
名前一つで大げさだなぁとは思ったものの、赤也はまだ外のことを知らないんだっけ。
初めてポケモンに名前をつけてあげるとしたら、それは確かにワクワクする。
私もみぞれに名前をつけるときはいろいろ悩んだ。でも悩んでいる時でさえワクワクしていた。
昔の自分を見ているそうで、なんだか胸の中がほっこりした。
「で、肝心の名前は何になったの?」
「へっへーん!すっげーかっこいいっすから。
昨日から俺のヒコザルは、ヒコザル改め、炎月(えんげつ)っす!」
[ヒコ!]
炎月と赤也は胸を張って誇らしげにしていた。余りにも新鮮なことで思わず私も笑ってしまった。
「いい名前だよ!一人の時か私と二人きりの時だけその名前で呼んであげてね。
見つかるとめんどくさそうだし」
赤也ははい!と元気よく返事をして笑った。
「で、今日は何を教えてくれんすか?」
「やっぱり、バトルかな」
バトルと言った瞬間赤也の表情は一瞬だけこわばった。
やはり自分でも苦手意識があるんだろう。
「さぁ、がんばろうか。赤也」
20131103