道草少女
□06
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はやくも時間は過ぎ、放課後になった。授業は簡単な内容のもので、旅に出れば全て養われるものばかりだった。
ポケモンの実践の授業も授業でやったものの復習のようなもので、簡単な手合わせだった。
私としては本気のバトルではないのでまったくもって面白くはなかった。
正直こうして探索をしている方が楽しいかもしれない。後は赤也に色々教えることだろう。
長いあいだこの学園で生活できるか不安になるばかりだった。
校内を歩くうちにアンコが足を止めたのは例の噂の人が消えたという廊下。
周りには人がいない。
妙に静かでここだけ空間が違うみたいだった。
アンコはあたりを警戒しながらゆっくりと先に見える曲がり角へ向かう。
一歩一歩ゆっくりと近づく。
自分の息遣いと足音それだけが聞こえる。
曲がり角の一歩手前まで来て、ひと呼吸置き勢いよく曲がり角へ顔を向ける。
あるのは廊下ではなく少し凹んだ空間に、ゴミ箱がいくつか設置してある。
人がこの先に行けるなんて絶対にありえないことだと確信できる。
「(やはりゴーストタイプのいたずらなんじゃ・・・)」
そうしてゴミ箱の前で考え事をしていると
「あなた、そんなところでどうしたの?」
アンコは勢いよく振り返る。そこにいたのはひとりの女性教師だった。
女性教師はニコニコと貼り付けたような笑顔を浮かべている。
アンコも作り笑いを浮かべアコになった。
「あ、さっきそこでゴミを見つけて・・・ここに捨てに」
ポケットから紙くずを出しゴミ箱に捨てた。
女性教師は表情を変えずに「そう、偉いわね」といった。
「でも、ここって怖いですよね」
「あら、あなたもあの幽霊の噂信じているの?」
「は、はい・・・」
「きっとあれはゴーストタイプのポケモンが見せたものでしょう。そんなに心配することはないわ」
女性教師はアンコの頭を二回、ポンポンとなだめるように手を置く。
「そ、そうですよね!!よかった、先生に話してみて。
それじゃあ先生、さようなら!」
そういい駆け足でその場を離れる。
先生も小さく手を振っていた。その場から離れることなく、最初と同じ貼り付けた笑顔を浮かべて。
「・・・・まさかね・・・」
・・・・・・
場所は変わって同時刻。立海学園のテニス部は短い休憩時間に入っていた。
「ジャッカル、丸井はどうしたのだ。
練習に身が入っておらん」
副部長の真田はベンチに座ってボーッとドリンクを飲む丸井を見て尋ねた。
その話にみんなも驚異あるのか自然と二人のもとへ集まってきた。
「ジャッカルがあの原因を知っている確率は78%だ」
「どうしたんでしょうかね丸井くん」
ジャッカルは一瞬戸惑うも、はっきりと言った。
「一目ぼれしたんだとよ」
その言葉を聞きシーンとなったあと、みんなで丸井に掴みかかり話しかける。
「どどどどどういうことっすか丸井先輩!!」
「だれじゃ、誰にほれたんじゃ」
「興味深い」
「丸井くんがとうとう恋ですか!?」
「たるんど「丸井、話してくれるよね!!?」
丸井はただただ驚くばかりで何も言うことができず、ベンチから転げ落ちてしまった。
「いっつ〜。なんでしってんだよい!!」
「「「ジャッカルに」」」
丸井はジャッカルをバッと見るもすぐに目がそらされる。
これは話さなければいけないだろう。どのみち柳や幸村あたりにすぐにばれて話すことになっただろう。
それならばと丸井は諦めて話し始める。
少し照れくさそうに、頭を掻きながら。
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