道草少女

□06
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赤也side

ジャッカル先輩が丸井先輩に好きな人ができたと聞いて、俺は飛びつくように丸井先輩のもとへ走った。
もちろん先輩方もだ。みんな興味津々な顔して。聞いていた。

幸村部長の最後の一言で丸井先輩はようやっと話すようになったみたいだ。
まんざらでもなさそうに、照れながら話し始めた。

どうやら昼飯を買いに行った帰りにパンを落とした女がいて、その女が丸井先輩の一目ぼれした相手だとかなんとか。

「ていうか、キャタピーコロネって!!」
「大事そうに抱え込んでたぜぃ」

でれでれしながら話してる。正直気持ちわりぃ。

「それで、その女子生徒はどんな容姿なんだ」

柳先輩がノートに書き込む気マンマンで聞いていた。
それは俺も気になる。再び俺は丸井先輩に目を向けて話を聞く。

「えーと、眼鏡かけてて前髪が鼻あたりまであって左に分けてる。それで髪も一本の三つ編みにしていて左肩にかけてたぜぃ。それがまたきれいな髪で、ぜってー触ったら柔らかいぜ」
「な、女子の髪に触れるなど!!」
「ブンちゃんキモいなり」

仁王先輩が俺の気持ちを代弁していた。

ん?ていうか俺その容姿の女子生徒見たことあるぞ・・・。


アコ先輩じゃね・・・?


いや、そんな女子探せばいくらでもいるか。でも、一応アコ先輩にも聞いてみるか

もし先輩のことだったらきっと先輩方に追い掛け回される気がする。
それに、そんなことになったら俺が修行できなくなっちまう。
分かったとしても、先輩方には内緒にしておこう。


「ふふふ、面白いね」
「あー・・・俺もう思い出しただけでニヤける・・・!」
「丸井くん本気っぽいですね」

とうとう幸村先輩が行動に出た

「ねぇみんな、丸井に協力してあげようか」
「面白そうなり」
「仁王くん面白そうなんて!!」
「俺も協力してやるぜ、ブン太」
「俺も興味がある」
「真田と赤也は?」

真田副部長が言葉を濁していたけど、「うむ」とそっぽを向いて言っていた。
なんだかんだ言って仲間想いだ、真田副部長は。

そうして部長の目は俺に向けられる。

「俺は・・・協力するっすよ」

部長がニコッと笑って丸井先輩を見る。丸井先輩は感極まった顔をして「ありがとう」って言っていた。

嘘をつけばいいんだ。
もしそれがアコ先輩がその人だったら黙っていればいいんだ。

先輩がいなきゃ俺・・・強くなれない・・・


赤也side終



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