道草少女
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ふと、ジャッカルは思い出したように私に質問した。それは私が今最も聞きたくないことだった。
「さっき誰と話してたんだ?」
思わず顔をしかめてしまう。あまり変なうそをついてしまうと今後の生活に支障が出てしまう。
「いや、その・・・ちょっと独り言・・・」
「あ、あと、お前さなんでキャラなんか作ってんだ?」
いい人だと思っていたジャッカルは案外ガンガンくるタイプなのかもしれない。
その追求にさらに私の内心は汗でだらだらだ。これは言ってしまってもいいのだろうか。
まだ彼が怪しい人物なのかは確定はできない。まぁ、それを言ってしまっては赤也もなんだが。
あまりにも私の沈黙が長かったのか、次第にジャッカルの表情は困ったような顔になっていった。さらには「聞いちゃまずかったか?」と申し訳なさそうに言ってきた。
「いや、そういうんじゃないの!!ただ、まだ話せないというか・・・なんというか・・・
悪気があってやってるわけではないんだよ!?」
「ああ、それは見てたらわかるぜ。そうか・・・すまねぇな無理言っちまって」
「ううん、無理ってわけじゃないんだけど・・・私に話す勇気がないだけかな」
「そうか」
ジャッカルの言葉とともにバトル場の中から次の試合の名前を呼んでいるのが分かった。
どうやら私の前にやる試合みたいだ。
私は重い腰を上げて、スカートのホコリを払う。
「これの次の試合私だから、もう行くね」
「そうか、俺はもう少しここにいるわ。俺の試合、一番最後なんだ」
またね、とお別れの挨拶をして私はバトル場の中へ戻った。
誰と試合だっけ?覚えていないということはさほど興味がないんだなと思う。確かこの勝負に勝てば、もしかしたら次の勝負でブン太と当たることになる。
彼の自信とやる気からして確実に次で当たることになる。
少し楽しみだな。
バトル場に入る頃には既に決着がつきそうになっていた。
・・・・・・
「それでは第5試合、アコvsタケル、試合開始!!」
始まった第5試合目。その試合にはかなりの人々が注目をしている。いきなりこの学校に来た少女が前代未聞の強さで勝ち上がってきた。もしかしたら学校代表候補に入るかもしれない。などと噂が立っていたからだ。
先生や生徒たち、更には違う学年の生徒もチラホラとこの試合を見に来ていた。
そして最も注目する点があった。
「いけ、レアコイル!!」
そう、相手のポケモンがはがね、電気タイプのポケモンということ。
対してアコのポケモンは
「チョンチー!任せた!」
水、電気タイプのポケモンだった。
相性的には良くない組み合わせで、どう攻略するのか、みんな期待に胸をふくらませて見ていた。
ちなみに今回のフィールドは真ん中の円状に草原その周りに水深の深い池が囲んでいる。
水中での活動が出来るということだ。
攻めたのはタケルだった。
「速攻!レアコイル10万ボルト!!」
[ジージジッ]
レアコイルの放つ十万ボルトはそのままチョンチーに直撃した。
だがチョンチーのほうは何事もなかったかのようにアコの指示に従う。
「チョンチーあやしいひかり」
チョンチーの二つの触覚から出た光は、不意を食らったレアコイルの周りを取り巻く。
そしてレアコイルの目はぐるぐると回り、混乱状態になってしまった。
「くそ、混乱になっちまったか!」
「チョンチー、手を緩めずに波乗り!!」
[チョチョチー!]
チョンチーの放つ波乗りはレアコイルの浮遊している場所をこえ、そのまま流した。
レアコイルは混乱したままで対応しきれずされるがままだった。
そして波が引くと同時にレアコイルが草はらで混乱しているのが見えた。
「レアコイル、嫌な音だ!」
だがレアコイルには指示が伝わらず自分に攻撃しようとした。
だが、
「チョンチー!空中に逃がすな!冷凍ビーム!!」
チョンチーの放つ冷凍ビームはレアコイルが浮遊する前に直撃した。
波乗りで濡れたレアコイルの体と草はらは氷でつなぎとめられて行動不能になった。
「くそ!レアコイル!目を覚ませ」
「チョンチー目を覚ます前にカタをつける!!連続でハイドロポンプ!!」
[チョッチー!!]
連発して打たれるハイドロポンプに動けないレアコイルはただの的となった。
二発目が打たれたあと目を覚ます。
「よし、レアコイル、放電で氷を壊せ!」
だが放電を放つ瞬間3発目があたり、レアコイルは戦闘不能となった。
「勝者、アコ!」
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