道草少女

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二人はあまり悩むこともなく、複雑そうな顔をして答えた。

『聞こえなかった・・・
ギャラドスの声が・・・何も、聞こえなかった・・・』

その答えは彼らだからこそ分かることだった。
ポケモンの間での“声”。どのポケモンにもあるそれを、そのギャラドスからは何もわからなかったとのことだ。
後から付け足しで話していたが、目にも光が宿っていなかったという。

「酷い・・・」

気づかぬうちに漏れた声はみんなの顔をさらに歪ませる。

『ねぇねぇ、霙に白夜。そのギャラドス以外にはその装置をつけた子達はいなかったの?』

蓮華が気まずい沈黙を破って私の最後の質問を聞いた。

『正直なところ、見たのは初めてじゃない。このギャラドスの前にもう一匹見ている。
けれどその時はそういう矛盾したポイントもなかったし、そのポケモンも寝ていたから怪しいと思わなかったんだ。
すまない、今更だな・・・』
「いいんだよ霙。気づいたことだけでもこれからの私たちの行動に有利になるし、今後バトルする機会があれば、それを壊しちゃえばいいしね」

私の言葉に青学組、氷帝組の彼らは無言で頷く。もちろんそれは私もだ。
霙たちのようにポケモンを従わせたり、無理やり力を引き出すようなものを見たときは、それを壊さなければならない。

「だんだんロケット団の行動が目に見えるようになってきたね。
他には何かあったグループはあるかい?今のうちに情報交換しておいたほうがいいだろうね。
明後日の定期報告を今してしまえばいいと思うよ」

ダイゴさんの提案に私たちはのることにした。
この場で定期的な情報交換をすることになった。まずは青学。

『青学はこの前のロケット団を見たことだね。あとは・・・蓮華チャンなにかあった?』
『えーと・・・あ!そうそう、さっきの話聞いてて思い出したんだけど、ウルガモスを連れているトレーナーがいた!!』
『ウルガモスって、イッシュにいるポケモンだろ?それに、数が少ないとか言われていなかったか?』
『そうですね、伝説では太陽の化身と言われるほど強い、私と同じ炎タイプのポケモンですからね。
簡単に仲間にはできないでしょうし。
それに扱うのも難しいと思いますよ。」
「そのウルガモスとトレーナーも怪しいね」

青学組はその教師とウルガモスの観察が次の主な行動になった。あと、装置の破壊。
氷帝はそのことだけで、装置の破壊を目指す。
そして立海。
私は隠し通路があるかもしれないということを話した。一人の先生が消えた、あのゴミ箱のところだ。

「いつかはそこに入ってみようとは思うけど・・・でもやっぱり手伝ってくれる人がいないと私と蘭だけでは入れそうにないかな」
『そうね、私とアンコだけじゃ無理ね』

突如私の後方から声がした。若い女の声だ。

「!?
誰!!」

そこにいたのは黄色いゴーグルをしている長髪で露出の高い服を着ている女の人。
それに私はこの声を聞いたことがある。毎日のように聞いていたじゃないか。

「もしかして、蘭?」
『ええ、進化して人型になれるようになったわ』

『え、その人蘭チャン!?かっわいー!』
『きれい・・・』
『そうですね、ですがアンコが一番です』
『よろしくね蘭ねぇさん!!私蓮華―!』
『白夜、そんな顔をするな』
『・・・・』

ムスっとしている白夜に気づいた蘭は『妬くんじゃないわよ』と言っていた。
蘭の擬人化のおかげですっかり話がそれてしまったが、話の続きを始める。

「だれかこの学園から仲間になってくれるような人がいいんだけれど、でもこうなってくると誰が安全かなんてわかるのは難しいんだよね・・・」
『そうだろうな』
『あら、そんなこともないじゃない。あの赤也ってことかブン太って子、それにジャッカルとか言う人も安全だと私は思ってるわよ?』


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