道草少女

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放課後になり、いつものように湖へ行く。

赤也が来るまで人型になった蘭とさっきのことについて話す。

「ねぇ、どこまで聞かれていたと思う?」
『そうねぇ・・・小さい声でしゃべってたし、最初の装置のこと聞いて焦った時とか、私にびっくりした時とかは聞こえてたんじゃない?』
「最初の方を聞かれたとなると、怪しまれてそうだな・・・」
『あはははは!そうね!』
「ちょっと!蘭が途中から出てくるからびっくりしたのに!」

ごめんごめんなんて謝っているが、顔は笑ったまんまだ。
なんか馬鹿にされている気分だ。

『怒んないでよアンコ。それより阿部誉って何者なのかしらね』
「ああ、私も気になってたんだよねその人。仁王の言い方じゃあ、あの人がなにかしてるみたいだし・・・。
でも何をしてるのかまでは分かんないんだよね。」
『赤也にきくんでしょ?阿部誉の噂はないのかって』
「まぁね」

だが、前にきいた女子に大人気みたいな噂が返ってきたらどうしたものだろうか。
そうなった場合仁王に直接聞き出すことが得策になる。
けれど彼のことだ私の情報と交換になるだろう。

「仁王を見て蘭はどう思う?」
『危険か危険じゃないかってこと?』

私は頷き、蘭の言葉を待つ。

『そうねぇ・・・・彼は危険ではないと思うけど、でも敵になったらきっと怖いわよ』
「それだけ厄介ってこと?」
『ええ』

たしかに。さっき話してみたけれど、彼は抜け目ないし、勘も鋭い。
それでいて何を考えているかわからない。そんな彼がロケット団だと考えると、何を仕掛けてくるかわからない。

まぁ、敵だったらの話だが・・・

『でも、彼のメタモン人に変身できるなら、例の隠し通路に行く時協力してもらったら助かるんじゃない?』
「あー・・・確かに。
万が一私を探している人がいたとしても怪しまれないしね。

でも、そのメタモンが一匹じゃ足りないかな。私以外にも誰かに協力してもらいたいし。」

そう、問題は誰に協力してもらうかだ。
赤也は実力がもう少し欲しい。ブン太に関しては実力的にはまぁまぁだが、本当の私を知らないし、ジャッカルも知り合ったばかりで何も知らないのにそんな酷なことは頼めない。
それよりもまず、私がここにいる理由を彼らに話さなければならない。

それはリスクが高い気がする。それを話して彼らが誰にも口外せず、いつもどおり過ごせるか、信じてくれるか、戦う覚悟があるか。

「難しいな」
『難しいのはわかるけど、アンコ自身も決意が鈍りすぎだわ』
「え?」
『いつかは決めないといけないことなのよ?あなた自身彼らに協力して欲しくないって思っているんじゃない?
だって、アンコって私たち以外に頼ろうとすることをしないじゃない」
「そんなことは・・・・」

確かに、蘭の言うとおりだ。
直接的なことは結局私自身で動いてどうにかしようとしている。協力してくれる人を決めようとしてるけど、結局は私自身が怖くて決めたくないだけなんだ。

「蘭の言うとおりだ。私、結局は自分以外の人を巻き込むのが怖くて決められないみたい」
『いいのよ、巻き込んじゃいなさい。
相手が迷惑だと思ったら謝ればいいし、もっとガンガンいきなさいよ』
「ガンガンねぇ・・・」

ガサガサガサ

後ろのほうから誰かが走ってくる音が聞こえる。きっと赤也が来たのだろう。
蘭は『がんばんなさいよ』とウインクをしてボールに戻っていく。

「ひとり、巻き込んでみるか・・・」

後ろの方で私に気づいた赤也が「せんぱーい」と叫びながらやって来る。

私は決意をして赤也に向かう。

2014325
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