道草少女
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翌日、私はいつもより遅く起床し外へ出た。
目的はこの学園の敷地にいるポケモンから話を聞くこと。
今考えれば、ここのポケモンたちに情報を聞くほうが効率的に良かったかもしれない。
そうすればこんなにも自分の気持ちで悩むことはなかったのかも。なんていっても後の祭りだ。
スニーカーの
靴紐をきつく結び、寮の扉を開けて外へ出た。
いわばエリアに近いエリアへ向かった。そこまでは昨日みたハガネールたちの尾についていたモノについて考える。
あれは確実にロケット団か誰かがやった装置だろう。そして十中八九制御装置。あそこの立ち入り禁止地帯を守っているように見えた。
だが、あそこに隠してあるものは一体何だ?
生徒には見せたくないもの。例えばなにかの装置?いや、基地への入口だったりするのか?
ポケモンたちをあそこに閉じ込めていたり・・・
無難なところでこんなものか。
まぁ、大方の目的としては“何か隠したい”ということだ。
だが、全体的なロケット団の目的が全くわからない。
赤也に聞けば普通に卒業生も出ているらしい。それにみんな大きな問題は起こさず暮らしている。
誰もこの学園に疑問を持ってはいない。
『アンコ!』
いきなり誰かに話しかけられる。この名前で呼ぶ女の子はここには蘭しかいない。
少し驚きながら振り返ると、顔を前に戻される。そして蘭の指はある一点を指していた。
『あそこ・・・』声を潜め私に何かを伝えようとしていた。
湿地帯エリアに近づいているため、草の背が高くなってきていて目を凝らして先を見る。
そこには一匹のポケモンがいた。
ここに来て今日初めてのポケモンだ。(ちなみにニョロモ)
私は蘭に「ありがとう」と一言伝え、慎重に進んだ。
進むとニョロモが私の存在に気づき、逃げようとした。
「まって!!」
ニョロモを見つめながら必死に声を上げた。
ニョロモは立ち止まり、ことらをチラチラときにしている。
「私はあなたに聞きたいことがある」
ニョロモは周りを見渡し自分に声がかけられていることを確認する。
だが、まだどうしようかと慌ただしく歩いている。
そんなことも気にせずに私は単刀直入に話題を切り出す。
「あの岩場エリアのハガネールたちのこと知ってる?」
ビクッとニョロモの体がはねる。ふるふると体が震えていて、未だに言葉を聞かせてはくれない。
何かを知っているのは明白だった。
「何かを知っているんだよね?
私にその情報を教えて欲しい」
[・・・・・]
「私はあのハガネールたちが何かの装置を付けられてああいうふうになったんじゃないかと思ってる」
[・・・・・・]
「お願い。私はここの学園にある組織が絡んでるときいてきたんだ」
そこまで言うと、ニョロモは動きを止めじっと私を見つめた。
私もニョロモを見返す。この思いがどうかニョロモに届くようにと。
[あの・・・こっちです・・・]
そう一言だけ言うと、ニョロモは小走りで草むらをかき分けて進んでいった。
その言葉を信じ私は後を追った。
段々と湿地帯の奥に進んでいるのか、草がさらに高くなる。ニョロモは体が小さくて度々見失いそうになる。その度に、立ち止まりこちらを見て待ってくれる。
少しであろうが信じてくれているということがわかる。
そのことが嬉しくて、私たちの走るペースは徐々に上がった。
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