道草少女

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連れてこられたのは、湿地帯の奥深くにあるところ。地面が凸凹になっており、その凸凹に度々大人ふたりは入れそうな穴が見受けられる。

そしてその穴から次々とニョロモ、ニョロゾ、時にはニョロボンが出てきた。
そして一番奥から、のそのそと、ニョロモたちとは違う色のポケモンが出てきた。

[お前は何しにここへ来た?]

ニョロトノだ。

きっとこのニョロトノがここらへんを取り仕切っているトップなのだろう。
私は汚れることなど気にせず、その場に正座して頭を下げる。

「私はアンコといいます。
このニョロモに話を聞こうとしてここへ案内されました」

ニョロトノはギロりと案内してくれたニョロモに目を向ける。
ニョロモは一旦怯むも、小さな声で話し始めた。

[このひと・・・その、あのハガネールたちの様子がおかしいのに気づいてて・・・。
それに!ここにある組織が絡んでるって聞いてきたって。]

周りのニョロモたちは騒めく。
ニョロトノの目線は私に移り変わり、じっと見続けた。

目線を話す気はないが、逸らせないというのはこのことだろう。強い気が感じられた。

ニョロトノはふうと息を吐き、私に話しかけた。

[お前、私たちと会話できるのだな。]
「・・・はい。生まれつきみたいで、物心着いた頃にはもう」
[して、その組織が絡んでいたとして、お前はこの状況をどうするんだ?]

緊迫した空気の中、私は落ち着いて話す。
そんな質問は簡単だ。この調査に参加した時からダイゴさんに誓っているから。

「そんなもの、その組織を壊滅させますよ。ここに来る前から、ある人と話しましたから」
[・・・・そうか]

あの時は潜入調査を頼まれただけだが、いずれこうなるだろう。なにせロケット団自体もう壊滅したものだとみんな思っていたのだから。

だんだん地面についているすねがじっとりと濡れてきて気持ちが悪い。
でもここでそんなこと言っていてもダメだ。

ニョロトノは今いろいろ頭の中で考えている。
次に出るのはきっと決断した結果だろう。
私の緊張は徐々に上がっていく。

[いいだろう。私たちはお前に賭けてみる。

だから、私たちの知っていることをどうか聞いてはくれないだろうか]

ニョロトノの目は最初の時よりも、熱く、綺麗なものになっていた。

「勿論です・・・!!」


・・・・・・

こうしてニョロトノたちから聞いた話は、重大な鍵となった。

ポケモン達はロケット団に攫われこの学園へ連れてこられたという。
最初は全く不自由なく暮らしていたらしい。

だが、何年か経つと特定のポケモンたちにある装飾品をつけ始めたという。
その装飾品をつけたとたん、彼らと会話できなくなった。
そして、行動自体もおかしくなった。

例としてあげればあのハガネールたちだ。

そして最近はそのことが頻繁にあるという。ポケモンたちの間ではポケモン狩りと呼ばれるらしい。
なのでなるべく人間の前には姿を現さないようにしているとかなんとか。

生徒たちなら別に問題ないのでは?聞いてみたが、生徒にも先生にもあいつらはいる。と言っていた。


つまり、先生だけでなく、生徒にもロケット団がいるのは確実になった。

他にも、危険地帯には何か隠しているんじゃないか。ときいてみた。
だがそれは彼らにもわからないという。湿地地帯を転々として自分たちの身を守っているらしい。

このことから推測するに、その装飾品は装置でそれを自分のポケモンにつけている学生が怪しいとなる。

このことをみんなに報告しよう。
私の頭はそのことでいっぱいだった。目の前に見えてきた女子寮を見て思わず口元がにやける。

だが、そんな油断した時だった。

「あぶない!!」

一人の女子生徒の声とともに私の体は吹き飛んだ。
いきなりのことで頭がついていかず、そのまま地面に叩きつけられる。

「いっ・・・!!」
「ごめんなさい!ゴマゾウと技の練習をしていて、巻き込んでしまって!!

そう少女は泣き出しそうに頭を必死に下げていた。
「大丈夫」といいながら起き上がろうとするも途中で足の痛みに気づきうずくまってしまう。
足の打ち所が悪かったのだろう。

膝や太ももからは血が出ていた。

少女はどうしようどうしようとうろたえているばかりで何もしようとはしなかった。
そんな時、また私の体は宙に浮いた。
そして視界に入ってきたのは

「保健室に連れて行きますから、少々我慢してくださいね」

そういって爽やかに笑う男性だった。

20140509
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