道草少女

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「サーナイト、大丈夫!?」

サーナイトはその言葉に反応はしない。
だが、どういうわけかこの女「うん、いくよサーナイト」などといいいかにもポケモンと意思疎通ができているように振舞う。
何をしているんだか。

「サーナイト、サイコキネシスでランターンを引きずり出して!」

サーナイトはサイコキネシスをして蘭を水中からだし空中に漂わせる。

「エナジーボール!!」

サイコキネシスをとき、エナジーボールを打ってくる。けれどもそんなこといくらでもあった。こんなことに対応できなくてどうする。

「ランターン水の波動で相殺!続けて吹雪!!」

エナジーボールにいい具合に水の波動があたり相殺される。そんな事予測していなかった小杉は戸惑い何も指示を出せない。
確かにサーナイトは強い。だがそれを活かすことができないトレーナーだとこんなものだろう。

吹雪はサーナイトに直撃。サーナイトの動きは格段に遅くなった。ダメージがひどいのだろう。だがこのバトルはまだ終わらせるわけには行かない。

目的はあの首についている装置の破壊だ。

「ランターン電磁波」
[タァーン!]

「か、かわして!」

だがその指示は叶わずもろに電磁波をくらったサーナイトはその場に膝まづいた。
ここがチャンスだ。

「ランターン、やるよ」
[(了解)]

蘭にも言いたいことは伝わっている。
上手く当たるかが問題だが、やらなきゃおわらない。一度深く深呼吸し、前を見据える。

一発で決める!

「ランターン、雷!!」

蘭は精一杯のパワーでサーナイトに雷をぶつける。多大なる電力に耐えきれるはずがない装置はバチッ!!と大きくなり壊れて、サーナイトの足元に落ちた。

そして雷をくらったサーナイトもその場に崩れ落ちた。


――ありがとう・・・


そう聞こえた気がした。綺麗な、鈴のような声だった。


・・・・・


「「で、どういうことなんすか/なんじゃ」」

目の前の赤也と仁王はむすっとした顔をした詰め寄ってくる。

試合が終わり、放課後になって何事もなく仁王に頼んだ場所に連れてきてもらった。
そこは寮の食堂の近くにある階段したの物置スペースだった。
天井が低くて座っていないと辛い状態だが、意外にも横の空間は広い。

なんでもここはいわくつきの物置らしく、人が近づかずそれを知った仁王は鍵をすこし借りているらしい。(絶対くすねたと思うのは私だけなのだろうか。)

でだ、この二人の会話に戻る。
一番最初に質問されたのが、なんで赤也が、仁王がいるかということだ。

「どういうことって言っても、仲間になりましたとしか・・・」
「ぬあああそういうことじゃなくて、なんでよりによって仁王先輩なんすか!?」
「おい、赤也。いつからそんな口をきくようになったんじゃ」
「私だって好きで仁王を仲間にしたわけじゃないんだってば」
「ぷり!?」
「仁王に貸しを作っちゃってね、それでポンポンポンと成り行きで」

「ああ、仁王先輩に弱み握られちゃったら終わりっすよ」なんて悟りきった目をしていう赤也にはどこか説得力がある。
赤也もなにか仁王にやられたのだろう。

その仁王はさっきから「ひどいぜよ。まーくん泣いちゃうなり」とか気持ちの悪いことを言っている。
スルーの方向で行こう。ほんとに、なんで仁王を仲間にしたんだっけ。

「とりあえず、先輩学年代表入りおめでとうございます!」
「赤也も代表入りおめでとう」

へへっと照れくさそうに笑う赤也に胸が温かくなる。師匠っていうのも悪くないなと思えてきた。

「で、なんで幸村にわざと負けたんじゃ」

いつの間にか仁王は普通の態度になっていた。いつの間に復活したのだろうか。
仁王の言葉に赤也はゲッという顔をする。「幸村部長に手加減して負けたんすか・・・」と引いていた。

「はぁ、ちゃんと話すよ。
私は別にゆきむらを舐めていたわけじゃなくて、あの小杉のサーナイトと戦いからわざと負けたの」
「で?」
「そのサーナイト、首輪をつけてたでしょ?あれどっちかはわからないけど制御装置か、強化装置なの。」
「え」
「それはロケット団が作っているものだと思うの。実際に高いけど売ってるじゃない」
「でも、なんでそれが装置だってわかるんじゃ。ただの装飾品かもしれん」
「・・・・」

さて、私がポケモンの声を聞けるから。なんて言っていいのだろうか。これだけは本当に伏せておきたいことなのだ。

「・・・私の上司の情報」
「あ、もしかしてあの人っすか」
「うん」

赤也がいい感じに勘違いをしてくれて、嘘に納得してくれた。これが一番の安全策だろう。
いくら仲間ができたからといって、流石にこのことを話すのはダメだと感じた。


まだ完全に彼らを信じることはできないということだった。


20140706
久々に道草更新です
次回か次次回にやつが出てきます
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