道草少女

□18
2ページ/3ページ


もちろん、ロケット団のことを実際に目にしてくるという目的もある。立海からの報告はほか二つの学園よりもロケット団に関連していることが多いからだ。
それに、秘密の部屋に入るのに一人はちょっととも言っていた。

だったら僕が直接言ってしまえばいいんだと思いついた次の日には立海側とのゲスト参加の話はまとまっていた。

このことはもうしばらくしてから・・・いや、ドッキリの感覚で秘密にしていこう。
どういう反応をするだろうか。彼女は普通の人よりは冷静なタイプだが、自分の感情には結構素直なタイプだろう。すぐに顔に現れる。


そういえば彼女のポケモンのランターンが言っていた、三人の男の子。えーと名前は忘れたけどどこにいるんだろうか。

彼女のバトルはもうすぐ目の前で始まる。
でもあまり乗り気だはなさそうだ。それにチラチラとこちらを伺っている。
やっぱりドッキリは作戦成功だったみたいだね。いつ僕に話しかけてくるんだろうか。予想通りの反応に思わず笑みがこぼれる。


まぁ、彼女の仲間かもしれない人達の事は後々考えよう。
今は彼女の、彼女たちのバトルを楽しませてもらおう。そして彼女と戦おう。きっとめんどくさいと踏んで一位にはならないと思う。

だから僕からの指名ということにして戦わせてもらおう。
彼女は今ここの生徒だから断ることもできないだろうし、きっと会場の歓声に押されて結局は戦うことを選ぶだろう。

その時の僕を恨めしそうに見る顔がありありと浮かぶ。

そして彼女のバトルは始まった。

相手はサイドン。勿論彼女が有利だし、彼女が余裕で勝つんだろう。
それでも彼女のバトルを見るのはこれが初めてだ。
審判の声とともに彼女の指示がランターンに飛ぶ。そのことをランターンも理解していたのか、波乗りは反応すらできなかったサイドンに直撃した。

相手のトレーナーも予想外のことにオロオロしながらサイドンの安否を確認していた。
波が引き、徐々にサイドンの体はあらわになっていく。
だがそのサイドンは元々立っていたはずだったのに、見えた姿は横たわっている。

審判が慎重にサイドンに近づき確認をした。
彼女はキャラ作りの為か自信なさそうな表情をしているが、内心は勝ちを確信しているだろう。対しての少年は何が起こったのか未だに理解が追いついていないようで落ち着きなくその場をウロウロしている。

そして、審判の高らかな勝敗宣言がされた。

その声に会場が沸き、一段と熱気が強くなった。
会場だけじゃない。確かに自分の中の何かもざわざわとこみ上げて熱くなる。人のバトルでこんなにも興奮をするのは久しぶりかも知れない。

ああ、仕事が面倒になってくる。このまま彼女と本気のバトルをしたい。
だが我慢だ。

「はぁ」

小さく付いたため息は誰の耳にも届くことはない。

こんな事態じゃければ・・・。そう思いながら次の試合を眺めた。


ダイゴside終
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ