道草少女

□18
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赤也side


学年代表の試合に出れる権利をえたけれど、初戦は副部長だった。
アコ先輩よりは良かった。だって先輩は俺たちにここまでの力をつけてくれた師匠でもあり、感謝すべき人でもある。

でも、先輩からの宿題「力を音に例えるとしたら、力を強めるスピーカーの役割をもつものは何?」っていうのが未だにわからない。

スピーカー自体は“道具”だ。でもこの対抗バトル自体道具の使用は認めてられていない。それは先輩も知っているはずだ。
それで訂正とかを言ってこないということは道具ではないってことになる。

それじゃあ技か何かじゃないかと俺は考えた。けれど技自体もレベルを上げないと習得できない。
じゃあ俺の炎月はその技か何かを得るために後どれくらい強くなるんだ?
それを想像してきっと技でもない何かになる。


でももうそれを考えるほどの時間はなかった。バトルフィールドの反対側にいるのは副部長。どこか笑っているようだけど、テニスで手塚さんと試合しているような時の顔だ。
その顔にちょっと驚いたけど、こんな機会もうないかもしれない。

「副部長!俺絶対勝ちますんで!」
「いい心意気だ赤也。だが、全力で来ないと・・・俺は倒せんぞ・・」

その表情に飲まれそうになるも、両頬を手で叩いて気合を入れる。

「っしゃあ!!!」

そして審判の試合開始の声が聞こえた。
先手必勝!
「モウカザル、火炎車!」
「バクフーン、火炎車!」

副部長も俺と同じタイミングで支持をしてきた。

どちらも同時に当たり、元の位置に帰ってくる。パワーはやや副部長のバクフーンが上みたいだけど、炎月も負けてはいなかった。

副部長の方を見ると「ほう」と感心していた。前の俺だったら怒られてばっかだったけど、認められてるってことだろうか。
そのことが嬉しくて、ニヤケを隠しながら次の指示を出した。

「よっしゃ、モウカザルマッハパンチ!」
[ギイイィ!!]

マッハパンチの速さについてこれていないバクフーンに直撃した。

「バクフーン炎のパンチ!」
「アクロバットでよけて攻撃だ!」

バクフーンの攻撃はかすりはしたものの、そのままアクロバットが決まった。
そこそこのダメージみたいで、バクフーンは倒れそうになった。

よし、手応えを感じる。チャッチャと終わらせたほうがこれ以上ダメージを受けなくて済むし、勝てる確率も減らない。

「モウカザル、影分身!そして一斉に瓦割りだ!!」

バクフーンの周囲をモウカザルがかこみ、一斉に襲い掛かった。これなら!

「ふん、小賢しい。

バクフーン、噴火!!」
[バアアッフ!!!]

噴火は周囲全体に飛び散る。そのせいで炎月の影分身はことごとく破られた。そしてそれは本物の炎月にもヒットした。
威力がはんぱない!一発食らっただけなのに炎月は苦しそうに立ち上がった。

「モウカザル、まだ行けるか!?」
[ガウギイイッィィ]
「どうした赤也、この程度か?」
「まだまだ終わりじゃないっすよ!モウカザル穴を掘る!」


円月は一瞬で地面の中に身を消した。炎タイプには有利な地面タイプの技。そして穴を掘るは直前までどこから出てくるかわからない。
これが決まれば相当なダメージになるはずだ。

だが副部長はそんなことでは動じなかった。

「バクフーン斜め後ろだ!気合玉!」

バクフーンがうった場所にはピンポイントで炎月が出てきた。やべぇ、よけられねぇ!
だが、炎月はそれをギリギリのところで避けた!
これには副部長も驚いたみたいで、向こうの方から何!?と驚いた声が聞こえてくる。


「モウカザル、マッハパンチ!」
「岩石封じで動きをふうじろ!!」

バクフーンにマッハパンチがクリーンヒットした。よっしゃと思ったのも束の間、バクフーンの技も同時に喰らうことになった。
しまったと思ったときにはもう遅かった。

「バクフーン止めだ、地震!」
[フアアアア]

ズシンズシンと響く音とともにモウカザルの声が聞こえた。
直撃。それに身動きがとれずなすすべもないまま俺の学園対抗線は終わった。





「勝者、真田弦一郎!!」





20140927
主が全く出てこない回でした。
次は出張りますから!
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