道草少女

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何気なくゴミ箱を見ているとあることを思い出す。

「ダイゴさん。そういえばシンオウのジムリーダー達から教えてもらった話があるんです。
カントーのジムリーダーのマチスさんいるじゃないですか。丁度近くにあるみたいですけど。なんでもマチスさんのジムってゴミ箱の中にスイッチがあってそれを見つけてマチスさんのところに行かなきゃいけないらしいんですよ。」

すこし自嘲気味にはなしながら、ほんとに何気なくゴミ箱の中を漁ってみた。
手が何かに勢いあまってあたり、反射的にその手を引っ込めた。

「いったあ〜」

ジンジンと痛む手をさすりダイゴさんに、「ジムみたいにはいかないですね。」そう話そうとしたのだが。

「アンコちゃん。君の勘、間違ってなかったみたいだね」

そう言い指さしたところはゴミ箱の置いてあった真下。そこには見慣れない地下への階段が覗いていた。
まさかまさか、ほんとにあいた。私のぶつけたものはスイッチだったんだと理解するのに時間はかからなかった。
「さあ、いこう。気を引き締めて」そういい、手を差し伸べてくる。素直にその手を取り、私たちは隠し通路へと足を踏み入れたのだった。



・・・・・


しばらく階段を下りたあと、そこには以前にも見たような光景があった。
そのせいか、私の顔から血の気が引いていくのがわかった。足も少しすくんだ。
あの時のギンガ団の基地に似ている。
「アンコちゃん?」ダイゴさんがこちらを振り向き、目を見開く。
すぐにしゃがまされて背中を撫でられる。ゆっくり息をしてそう言われ、落ち着きを取り戻していく。大丈夫だ。あの時のようなことはもう二度と起こらない。いや、起こさせない。そうみんなで決めたではないか。今更敵の本拠地でこんな状態になってどうする。
大丈夫だ、頑張れ私。必死に自分を励まし、立ち上がる。ダイゴさんは不安げにこちらを見ているが、私は決意を表すように顔を見せる。

「・・・君に昔何かがあったことは予想しているよ。だから、初めて会ったとき制御装置の連絡があった時、そして今。そうなっているんだろう。
でも今は聞かない。やるべきことがある、それに時間はかけられない。」

その通りだ。決して時間は無限にあるわけじゃなく、どこまで情報を仕入れられるか、それが今回のこの潜入だ。

「けど、この学校騒動のことが全て終わったら聞かせてくれないかい?
僕は、君のことを知りたい」

まっすぐ見つめるその目に一切曇りはなく、真剣さが十分伺えた。
私は静かに頷き、「行きましょう」そうひと声かけ、足を進めた。


・・・・


基地の中はガランとしていてやはり、皆バトルの方に向かっているんだと思った。ダイゴさんが待てといった意味がなんとなくわかった気がした。

ところどころに部屋があるが、どこも重要な書類などはなく、パソコンやテレビ、があるだけであとは普通の部屋がほとんどだった。
パソコンも情報を盗もうとしたがパスワードが掛かっていて見ることは叶わなかった。潜入してもほとんど情報を得られないまま、刻々と時間は過ぎていた。

「んー・・・。ねぇアンコちゃん。やっぱりね、会社を経営する親を持ってたりするとさ重要なものはだいたいどこにあるとか予想がつくんだ。」
「どこですか」
「ばっさりだね・・・。やっぱり一番重要なものは、一番偉い人物か、その人物が一番信頼をしてる人が持ってるもの、そう思うよ。」

ということはその二人の人物の使っているであろう部屋をみつけようということだ。だがそれがわからないからものすごく困っているんだ。
どうしたものか。

「あんたたち、最初からそれが目的だったのね」

いきなり声がした。しかも私たち二人以外の誰かの声。つまり、ロケット団の一員!後ろを振り向く、そこにはあの色違いのサーナイトを使っていたあの女がいた。名前は覚えていないが、その顔はよく覚えていた。

「君は、ロケット団の一人っていうことでいいのかな」

ダイゴさんが私の前にかばうように立つ。彼女はひどくゆがんだ顔をして言葉を吐いていく。

「そうよ。ここにいるんだから大体はわかっているってことよね。あーあ、めんどくさ。よりによってチャンピオンも一緒だなんて。
私が用があるのはそこにいる女だけだってのに、まいったわね。」
「ねぇ、君はなんでこの学校があるのかってことは知っているんだろう?教えてくれないかな」
「いやよ。どこにそんな馬鹿がいるっていうわけ?
そうね、その女が一生私の奴隷として働くのなら考えないこともないわね」

そういい、舌で唇を舐めとる。その姿はどこか妖艶だが、何故か毒々しく見える。それにしてもこの女やっぱり猫をかぶっていたのか。今はあの時より随分偉そうで図太そうだ。

「てゆうか、あなたたちのんきに私と話してていいわけ?

もう遅いけど、もうすぐ隊員たちが何人もここに押し寄せてくるわ。
ふふふ・・・あはははははは!!
そしたら、チャンピオンといえど長時間は持たないでしょうねぇ・・
そうなったらあたしがそこの女の面倒見てあげる。たっぷりたっぷり可愛がってやるんだからあ!!
いくわよ、ゼブライカ!」
[ヒイイィィィン!!]


私たちはボールを構えて臨戦態勢をとった。


20150210

やっとここまでこれた。もうすぐ私の楽しみにしているところがかけそうでワクワクしています
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