道草少女

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かと、思われた。

その後ろから、リザードンが炎を纏い突っ込んでくる。

「フレアドライブ」

不意打ちだ。とっさのことで流石にかわすことは叶わなかった。ミュウツーは一回りも大きい物体が直撃した。その体はボールのように軽く飛ぶ。
それでも倒れる様子はないのは分かっていた。攻撃の手を休めてはいけない。

「隙を作るな!ドラゴンダイブ」

私の支持を読み取っていたのか、反応がいつもより早い。ミュウツーが立て直した瞬間それも決まる。勢いよく地面へ叩きつけられる。
そこへリザードンも容赦なく破壊光線を打ち込む。
私もこれが最後の攻撃になると信じて、破壊光線を打ち込んだ。

ミュウツーの叩きつけられた場所はしばらくしても、もくもくと土煙が巻い、いっこうに姿が見えない。

「静、反応はありそう?」
[ない・・・・・きがする]

どうやらポケモンたちでもその気配は捉えられないらしい。彼もキャップのツバを掴み、隣へたつ。
何も言わないが、さっきとは違い落ち着いた感じではある。

ざあ、と少し強い風が吹き、その煙は一気に消える。そこにいたのは戦闘不能になったミュウツーだった。
倒した・・・。
ホッとした。一気に腰が抜けその場に座り込んでしまった。ぽんと頭に手が乗せられ、撫でられる。隣にいる彼であるのは分かっていた。けどそんなことをする人だとは思っていなかったため少し驚いた。

「おつかれ」
「・・・はい」

途中で終わってしまった再会も、今改めて行われた。ぎゅうぎゅうと体が締め付けられるが、それがとても嬉しい。

「とにかく、みんな無事で良かった」
『アンコもっ!!』
『へへへ、ほんとに頑張ったんだよー!私も流星も、霙くんに白夜くんそれから静ちゃん、ついでに火六も』
『ついでってなんですか、私は毎日毎日アンコのことを想いひたむきに頑張ってきたんです、あなたよりね』
『私も・・・』
『俺たちが一番早く学園を潰した』
『俺だって、ミュウツー倒したじゃん!?』
『あああああああああ!!もう五月蝿い!!皆それぞれの役割を果たして丸く収まったんだろ、自分がとかじゃねぇ!!』

この掛け合いも懐かしい。

「みんな頑張ったね。」

他にもいろんな人たちが頑張ってくれた。
蘭も、赤也も、炎月にピジョン、真理ちゃん明日香ちゃんブン太に仁王にダイゴさん、学園の生徒、ジムリーダーたち、ジュンサーさんやジョーイさんたち、数え切れない人たちが、頑張った結果だ。
今はすごく、心が満たされている。そう思えるのだ。


・・・・・・


その後、ワタルさんやダイゴさんジュンサーさんたちが駆けつけ、サカキとその部下のランスが補導された。特に何も言っていなかったが、サカキはどこか満足そうな顔をしていた。その分、ランスはかなり悔しそうにしていた印象がある。

ミュウツーは体力を回復させると、知り合いであるレッドさんと会話をしていた。最初は彼もポケモンと話せるのかと思っていたが、そうではなく、ミュウツーのテレパシーでしているようだった。ハナダの洞窟には戻らず、今度は誰にも合わないような場所へと住処を移すとかなんとか。狙われる危険性を考慮してだろう。いくら強いといっても、それはどうにでもなってしまう。それが、今回のことからの改善だ。



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