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□寄道少女-弐-
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黄瀬くんが目を覚まし、火六の誤解も解いたところで本題にはいる。
「え、ちょ!!とょっとまってっす!!!まって!そもそもの話妃っちって、別の世界の人間なんすか……」
「あー、そういうことになるね」
「っ……そうなんすか……」
なんでそんなに悲しい顔をするんだろう。私は別世界の良くわからないやつで、前に会ったときなんて両手で数えられるほど。それに友達というほど親しくなったわけでもないのに。悪いことをしたわけではないけれど、申し訳ない気持ちで一杯になる。
「とにかく、私達の探してるもの。君達を皆みつけて、かつ君達の宝物を探しだせばちゃんと帰れるから、だから一緒に来てくれる?」
「それはもちろん!ただ、そうしたら妃っちには会えなくなっちゃうんすよね」
「世界が違うからね」
またしょんぼりしはじめる。うー、その犬ポケモンが耳と尻尾を垂らしているような感じ、苦手だ。
「ねぇ、妃っちここにいる間だけ、手、繋いでちゃダメっすか?」
「手?」
こくりと頷く彼は、先ほどと変わらない表情に加え、目に涙をためている。えええ?そこまで?!なんで?そんな状況でNOなんて言えるわけもなくて「いいけど」といえば、直ぐ様顔が輝き、両手を握られる。訳がわからない。
後ろで火六が鬼のような形相で「この男、絶対燃やしつくす」なんて恐ろしいことをぶつぶつ言っているのは聞かなかったことにしよう。
 
「おーい!なんでおいてったんだよ!!」
 
後ろの方から、誰かが走って近づいてきていた。なんだろう。薄暗い廊下だが、それにしたってシルエットが黒い。
「ああ、忘れていました」
火六がポカンとした顔で説明しはじめる。
「実は、ここに来る前黒い少年に会いまして。アンコに呼ばれたので置いてきてしまってました」
「ありがたいことだけど、気を付けてね」
「申し訳ありません」
その頃には既に少年は近くまでおり、彼が青峰くんだと分かった。
向こうも私と黄瀬くんに気づいてみたいで、なんでと色々な疑問があるようだった。また同じ説明になるが、青峰くんにも話始める。
「まずは、久しぶり青峰くん」

 
……
 
「ふーん、良くわかんねぇ」
「あれだけアンコが説明しているのに貴様はっ!!馬鹿なのですか、この馬鹿!!!!」
火六がぶちギレるほどに青峰くんは頭がよろしくないようだった。確かに見た目からも体育会系というのは分かるけどここまでとは……。火六とは相性の合わない人は多いけど、特に合わなさそうだなと思ってしまった。大丈夫かな、早く皆をみつけて火六の負担を減らした方がいいんだろうな。
「ていうか、お前ポケモンなんだろ!!ちょっと見せてくれよ!」
「ええ、青峰っちダメっすよ!大人しくしてた方がいっすよ」
どうやら彼らの世界ではポケモンはいないが、ゲームとしてポケモン疑似育成みたいなことは出来るようだ。それでポケモンの存在を知っているらしい。人形になっているところには驚かないのかという疑問もあるが、とりあえず火六にはいざというときのため、青峰くんたちの要望のため、ギャロップの状態でいてもらうことにした。興奮してさわろうとしていたが、熱すぎてすぐに手を引っ込めていた。当然と言えば当然。ギャロップとか火のポケモンはなつかないと普通にさわれない。それに火六は人嫌いというか、私以外の人にはなついてくれないので触れない。上部だけの社交性は立派なんだけど、内面的な社交性ももっと広げてほしいよなぁ、と思う今日この頃。
「じゃあ順番に部屋を探そう」
「はいっす!」
「おう」
とりあえずこのまま奥の、黄瀬くんのいたとこを調べる。いくつか部屋があったが、どこも散乱していてホコリやカビもたまっている。
「俺、目が覚めたらポルターガイストみたいなことが起こって、すぐ逃げたら、妃っちがいて」
「ちゃんと調べてねーんだろ」
「うっ、そ、そっす」
「大丈夫、そんな状況でなんか、落ち着いてられないしね。皆でやればすぐ終わるし」
「妃っちぃ!!」
黄瀬くんって感情の起伏激しくない?大丈夫?

結局探してはみたものの、なにも見つからず、他の部屋も同じような感じだった。青峰くんのほうへ行っても同じだった。
二回で行っていないのは中央のみ。しかしそこは、左右の道よりも薄暗く不気味だった。
 
20170729
 



 

  
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