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□寄道少女-弐-
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黒子くんを仲間にした。

彼はこの三人のうちの誰よりも、冷静で普通のアイデアを出してくれるとても優秀な人物だった。以前彼らの世界に行った時は、最後に彼とぶつかって二言くらい話ただけで特に関わりがなかったから、正直今会った瞬間は不安しかなかった。そう思うのも無理はないと思うのだ。存在感を消して、ホラースポットとして有名なこの洋館で背後から話しかけられたのだ。存在感を消して(大事なこと)人を驚かすのが好きなお茶目な人間なのだと思っていたが、生まれつき存在感がないらしい。それを聞いた時のなんて声をかければいいかわからない私は、この洋館で一番かわいそうだと思った。

さて、黒子くんも見つかり残りは赤司くんと紫原くん。後は宝物。私たちはおじいさんに話を聞こうと先にある扉へと足を進めた。
どうやら中はキッチンと食料庫のようだ。あれだけの大きな食堂ならこの広さもうなずける。しかし、目的のおじいさんの姿はない。

「いないな」
「確かに見たはずなんだけど、みんなも見たよね?」

今まで一緒にいた三人と火六はうんと頷く。そういえば黒子くんは食堂にいたのなら、おじいさんが入ってくるのを見ているのでは?

「黒子くんおじいさんが食堂に入ってきたと思うんだけど、見なかった?」
「おじいさん…?いえ、ここに入ってきたのはアンコさんたちだけですね」
「まーたまた、黒子っちもうドッキリはいいんすよ?」
「本当です。それに元々驚かせる気はないって言ったじゃないですか」

その発言に血の気が引いていくのが分かる。

「じゃあ、俺たちが見たのは‥!」
「そ、そんなはずないのだよ!幽霊なんてバカバカしい!非科学的だ」
「じゃあポケモンの説明はどうなんだよ!」
「それはこの世界の摂理と常識であって、今の話には関係ないのだよ!」

ここぞとばかりに火六が身を寄せてきて、額をゴシゴシとこすりつけてくるのが分かる。そして凄くうるさい。
[さあ!怖かったらいくらでも私にくっついてください!どんな外敵からも、この火六が華麗に守って差し上げます!!]
まぁでも、幽霊に関しては各地で目撃証言とかあるし、こんなホラースポットも出来るわけだから、必然といえば必然だけど。

「じゃあここを調べてほかのとこ行こう。早くやって、こんな薄気味悪いとこでていこ」
「アンコっち!はわ〜…かっこよすぎっす」
「え、黄瀬くんキモいです」


・・・・・


結局何も見つからず、中庭にきた。中央には噴水があり、鉄のアーチのようなものや花壇が見受けられる。きっとここは庭園になっていたんだろう。老朽化も進んでいて壊れた瓦礫と、枯れた木々、薄暗い雰囲気がまた何ともマッチしていて、足がすくむ。


「ここも隅から隅まで調べんのか?広すぎだろ!!」
「だが、その宝というものがわからないなら仕方のないことだろう」
「アンコさんは、宝物に目星は付いていないんですか?」
「私の宝物については分かってるけれど、黒子君たちのに関しては何もわからないかな」
「そうですか、因みに分かっているものについても教えて欲しいです」
「えと、宝石というか、水晶玉というか」

そこで残りの三人も反応する。

「それはもしや、以前も探していたものなのか?」
「うん、厳密に言えば中身は違うけど、見た目はほとんど一緒かな」
「え、前のやつまだ見つかってないんすか?」
「見つかったよ。でも、またやられたというか、なんいうか・・・」
「無用心すぎるのだよ!」
「と、とにかく探そう!!」

確信を突かれてやけくそで叫ぶと、後ろから声がした。

「その必要はないよ、ここは全て見たからね」

そこにいたのは、その場ににつかわない赤い髪の彼だった。


20180427
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