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□寄道少女-弐-
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赤司くんにも一連の出来事と、どうしたら帰れるかということを説明するとすんなり信じてくれた。やはり彼だけはどこか皆と違うというか、浮世離れしているというか。

「あと探してないのは何処だ?」
「えと、ないよね?」

いつの間にか指揮官は赤司くんになっており、記憶を探るも特に後は目ぼしいところは無かったと伝えると、考え込んでしまった。というか、彼らの仲間はあと一人いたはずじゃ。一番からだの大きな紫原くん。あっちにいたときも、一番関わりがあったであろう彼。ここの洋館では一切目にしていない。あんなにも目立つのに、今も見つかっていないなんて……少し可笑しくはないだろうか。
皆の方をみると、同じことを思っていたようで「そういえば紫原は?」なんてこそこそと話をしている。

「ねぇ火六、ここのポケモンたちに大きなからだの、えと、紫の髪をした男の子みなかったか聞ける?」

勿論お任せくださいとばかりに鳴き、どこかへ消えてった火六。皆にはここのポケモンたちに情報収集氏に行きましたと伝え、私たちは私たちでまた館内をくまなく探すということになった。緑間くんみたく、訳の分からな居場所に閉じ込められてる可能性もあるためだ。

「妃、敦のこと、僕たちのこと覚えていてくれてありがとう」
「え?」

少し前を歩く赤司くんが、こちらに少し顔を向け話しかけてくる。

「君がもとの世界に戻ってから、君はまた転校していったということになっていた。正直戸惑いはしたけれど、短い時間だったし、君もそこまで僕たちのことは気にしたりしてないだろうと思っていたんだ」
「そうなんだ」
「けど、敦はかなり落ち込んでね。君が探していた玉のこともあるけど、何より……君のことを大切に想っていたようでね」
「え?」
「まさか今回君にまた会えるなんて思ってなかったんだ。それに、忘れないでいてくれた。それはとても喜ばしいことだ。特に、敦にとっては」
「そ、そうかな…」
「ああ。だから、敦が見つかったら少しでもいいんだ。話をしてあげてくれないか?宝物はすぐに見つかるだろう。だから、それまでの間だけでいい。あんなに落ち込んだのは珍しいことだったんだ」

そう笑う赤司くんの表情は寂しそうで、どれだけ紫原くんが落ち込んでいたかは容易に想像できた。

「そ、そんなの、俺だって会えてめちゃくちゃ嬉しかったんすからね!」
「え?」
「ね、黒子っち!」
「まぁ、はい」
「緑間っちだって、青峰っちだって、皆妃っちにあえて嬉んすよ!」

黒子くんは優しげに笑っており、青峰くんは頭をボリボリかいてそっぽ向いている。緑間くんは照れ隠しなのか眼鏡を合わせ直して、ふんっと鼻をならしている。あんなに短い時間だったのに、そう思ってくれる彼らは優しい人間なんだろう。

「俺だって、もっとお話したいんすよ!!」
「五月蝿いです」
「壁とでも話してればいいのだよ」
「さっさといこうぜ」

優しい人間なんだろうか……。

そんな時、火六が駆け足でこちらに戻ってきた。
なんだか少し焦っているようで、それに、傷跡もあちこちについているようだ。

「アンコ!大変です」
「どうしたの!」
「もう一人の男は、ヨノワールに連れ去られたみたいです」
「は?!」
「なんでも、一人でいたところにヨノワールやサマヨールが寄ってきて、そのままふらふらと付いていったと…」
「まずい、紫原くん死んじゃう…!」
「なんだって?!」

その言葉に皆が動揺する。


20180826
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