道草少女

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今日は土曜日。学校も休日で私は特にすることはない。

というのは嘘だ。この休日を使って、以前から行きたかった立ち入り禁止地帯へ向かう。
先生から立ち入りOKという知らせは未だに来ておらず、ずっと立ち入り禁止のままなのだ。

やはり何かがある気がする。
蘭も進化して以前よりも強くなったし、私自身もこの周辺にはだいぶ慣れた。
行くなら今日がベストだった。


岩場エリアの立ち入り禁止場所から離れて周囲を伺う。周りには人がいない。かといって野生のポケモンもいなかった。

野生のポケモンがいないなんてなにかおかしい気がする。
無難にここらへんに生息しているポケモンに聞いてみるのが確実なのだが、これはこまってしまった。
しょうがなく岩場エリアの他のところを探してみる。


・・・・・・


一体ここに来てポケモンを探し始めてからどれくらいの時間が経っただろうか。
岩場エリアの大体を見回ったが、ポケモンが全くいない!
蘭に頼んで地面に攻撃を何回かしてもらったが、怒って出てくる気配もなかった。

となると、残す場所はあの土砂崩れのあった場所になる。

だがここが奴らの来て欲しくない、見て欲しくない場所だとしたら簡単には通してもらえそうにないだろう。
さてどうしたもんかなぁ・・・

とりあえず立ち入り禁止地帯へ戻ってきて目的の場所を影から見つめる。
蘭にあそこを攻撃してもらうとしたら、誰かに見られて技から特定の人物が割り出されてしまう危険性がある。

だとしたら、無難に小石でも投げてみるのがいいだろう。

足元に転がっている大きすぎない石を拾い目的の場所へ力いっぱい投げた。

飛んでいった石は崩れている部分へ当たり弱々しく跳ね返った。
しかし何も起きない。

何も起きないことを確認して私はその場所へ進もうとした

その時だった!

足元から地響きが伝わり咄嗟にその場から離れた。
そして後ろからガアアアアアアアアという何かの鳴き声とともに危険地帯の場所の土や石が弾け飛んできた。
幸いにも飛んできたものには当たりはしなかったが、後ろを振り向き私は目をひん剥いた。

そこには4〜5匹のイワーク、そしてその中心には一匹のハガネールが堂々と君臨していた。
彼らの声を聞こうと木の陰に隠れながら探る。

だが声はいつまでたっても聞こえては来ない。
そして気付いた。彼らの尾にリングのようなものがはまっていることに。

「(まさかあれは・・・!!)」

彼らは辺りをキョロキョロと見回したあとまたガアアアアアアアアアと叫び声をあげ土の中へ消えていった。


・・・・・・

寮に戻り、一通りのことを済ませ蘭と自室で今日のことを話している。

「ねぇ、やっぱりあのハガネールたちについていたのって・・・」
『例の制御装置かもしくは強化装置よね。でもみたところあのハガネールたちかなりレベルが高かったから、きっと制御装置だとは思うけど』
「彼らはあそこを守っているように私は見えた」

『私もよ』と蘭は返す。

「やっぱりあそこには何かあるんだ。制御装置を使って強いポケモンたちにあの場所を守らせるほどの何かが・・・」

そうして蘭と目を合わせる。蘭の瞳も揺らぐことなく私を見ていた。
きっと蘭も同じことを考えてたのだろう。

そうだとしたらゴミ箱の隠し扉以外にも調べなければならないところが出てきてしまった。
だが、いくら進化して強くなった蘭だとしてもあのレベルであの数の、もしくはそれ以上のハガネールたちを一掃できる気はしない。

「ここの調査も壁が出てきた・・・」
『そうね。せめていつものメンバーだったら余裕だったんでしょうけど、私だけじゃ流石に無理ね』

蘭は肩をすくめてため息をひとつはく。

「となると、違うエリアのポケモンたちにも話を聞いてみるほうがよさそうかもね」
『明日にでも歩いて聞いてみるのがいいわ。今日はもう寝ましょう?』

眠そうに目をこする蘭は、そのままポケモンの姿に戻りボールへ戻っていった。
確かに今日は結構歩いたし、色々考えたから普段より疲れてしまった。

おやすみとボールの蘭に一声かけ電気を消す。
私が眠りにつくのに時間はさほどかからなかった。


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