君こそ神様!+Heaven’s Security(小説)

□第6章*もってこい!いってこい!やってこい!!
3ページ/11ページ


「あ、ありがとうございます…」
『すまないな…』
お金は簡単には借りられないことを改めて思い知った。
最初にお金を貸してくれた人は、他に貸してくれそうな人を紹介してくれたがその人は貸すのを渋り…
とうとう俺は、借りようとしている金額に届かないままだった。
「はぁ…」
ため息をつくと幸せが逃げるよと友達に聞いたことがある。
でも今は、そんなことにかまってはいられなかった。
お金を借りないと借り物競走は、終わらない。
「―――――…!!」
「ん?」
どこからか言い争いが聞こえてくる。
俺は、声のする方へ歩き出す。
すると一人の男の子がこの町の住人と言い争っている。
「な、何やって…!!」
俺は、その場に駆け寄る。
「何やってるんだ!!」
「あぁん?誰?何の用?」
こいつ…俺の言葉が通じてる…
変な言葉をしゃべってないということは、こいつは俺と…
「と、とにかくやめろ!手を離せ!!」
「どうして?何で?」
「どうしてって…」
彼は、一向に手を離そうとしない。
「俺、今この人から借りなきゃいけないものがあるんだ。だけどこの人貸してくれなくてさ…俺、困ってるんだよね…」
そう言いながら彼は、ニヤッと笑う。
その顔がどう見ても悪役の顔にしか見えなかった。
俺は、そいつの手を取る。
「離してやれ」
「だから、何でだって言ってるんだけどっ!!!!!」
彼は、俺の手を支点に身体をぐるりと回す。
「へっ!!」
俺は、驚いて彼の手を思わず離す!
それと同時に彼が飛び膝蹴りを俺にくらわす…!!
「グフッ!!!」
彼が地面に降りる音が聞こえると同時に俺は、地面に倒れた。
「弱いね…」
彼は、それだけいうとまた住民に手を出そうとする。
それを俺は、何とか立ち上がって止める。
「やめろって…」
「しつこいなぁ…っ!!!」
彼は、俺に拳を振り上げた。
それに反応して思わず目を閉じる。
しかしその手が止まる。
俺は、恐る恐る目を開けて彼を見た。
「――――――……っ…」
彼の顔が、泣き顔になった。
泣いてはいないんだけど…
そんな顔になっていた。
そして彼は、拳を下ろす。
「なんだよ…」
俺は、彼に手を伸ばそうとした。
その顔があまりにも悲しそうだったから…
その顔があまりにも辛そうだったから…
「触るな…」
彼は、そう言った。
「もう誰にも情けは掛けないと決めたんだ…」
彼はそう呟いた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ