World Adapt(小説)

□Before a start
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「ああ。他の奴は他人に任せようって気持ち
が強いからそんな事言う奴いなかったんだ。
美春は全てを受け入れ、そしてそう言った結論を出したんだ。」

「…アーノルド様は美春様が気になるのですか?」


アルはサディに言われて、顔を赤らめた。
顔をサディから背けつつも、そうだと小声で答えた。
そんなアルを見ていて、サディは嬉しそうにしていた。


「アーノルド様は今まで他人に興味を持たない方でした。
そして誰に対しても気を許してきませんでした。
だから私は嬉しいですよ。」

「そ、そんな事は無い。そう言うことじゃ、ないさ…。」


否定はしているが、徐々に小声になっていくことで、肯定している事を指していた。

サディはその事が分かり、笑顔で、美春様の様子を見てきます、と言って部屋を出て行った。

アルはサディを見てから、窓の方へ目を向けた。
空には三日月が高く登っている。
これから徐々に新月となり、また満月へと満ちていくだろう。
当たり前の事にも関わらず、アルはそんな事を考えていた。

明日は早くから町を出て行こうと思っていたため、寝ようと寝床へと向かおうとした時だった。

勢いよく扉が開かれ、大きな音を立てた。
そこには普段は冷静でいるサディが息を切らせていた。
アルは大きな音よりも、焦っているサディに対して驚いていた。


「どうした、サディ。お前らしくないな。」

「…居ないんです。」

「何がだ?」

「美春様が部屋に…!!」

「っ!!」


アルはサディの言葉を最後まで聞かずに、自室を出て行った。
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