君こそ神様!+Heaven’s Security(小説)

□番外編1:……道案内……
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道祖神は、ふと飛んでいる木の間から下を見た。
また道に迷っている人間がいる。
道祖神は、そのまま下に降りた。
そして声をかけた。
「道に迷ってるのかい?」
「え?あ、はい…」
迷っていたのは、女の子だった。
「でどこに行こうとしてるんだい?」
「えっと…川を目指していたんですけど…でも…」
「ふ〜ん、じゃああっちだな!あっち!」
道祖神は、間違った方向を指差した。
「え?あっちは、違うんじゃ…でも、そうですね…」
「ん?」
女の子は、顔を伏せた。
まるで今にも泣きそうだ。
道祖神は、よくわからないがそういう者には、関わらない方がいいと知っていたので、すぐに離れた。
そういう人間は、面倒だ。
まるで話を聞いてくれというような素振りをする。
俺は、そういうのが嫌いだからな。
そしてまた木の上から女の子を見た。
女の子は、辺りを探しているようだ。
突然消えたのだから当然だ。
でもまた女の子は、歩き出した。
道祖神の間違った道を…
「あいつもバカな奴らの一人か。」
少しだけ悪い気がした。

たぶんこれが最初に俺がやってしまった悪いことだ。

後々、俺は女の子が山の崖から落ちて死んでしまったということを聞いた。
他の神からは、元々死ぬ気だったんだとかお前のせいじゃないとか色々聞いた。
だけどどの言葉も俺の耳には届かなかった。
その後しばらく俺は、人間を助けなかった。
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